初めてリーダーを任されたとき、正直なところ――
「で、何から手を付ければいいんだろう?」と頭が真っ白になりました。
やる気がないわけでも、責任を感じていなかったわけでもありません。
ただ、それまで“自分の仕事”に集中していればよかった立場から、
突然「チーム全体を見る役割」に立たされたことで、
考えるべきことの範囲が一気に広がってしまったのです。
当時の私は、リーダーとは「全部分かっていて、全部決められる人」だと思っていました。
その思い込みのせいで、何を優先すべきか分からなくなり、
とにかく手を動かして忙しくする、という間違った頑張り方に陥っていました。
この記事では、
初めてリーダーを任されたときに感じた戸惑いと不安、
何から手を付ければよかったのか分からなくなった理由、
そして後から気づいた「本当に最初に考えるべきだったこと」を、
一つの体験談として正直に振り返ります。
今まさに同じ立場で悩んでいる人が、
「自分だけじゃなかった」と少し肩の力を抜けるような、
そんなきっかけになればと思います。
リーダーを任された日の正直な気持ち
リーダーを任された日、嬉しさよりも先に出てきた感情は、正直なところ「戸惑い」でした。
評価された、期待されている、という感覚がまったくなかったわけではありません。
ただそれ以上に、「自分に務まるのだろうか」という不安の方がはるかに大きかったのです。
これまでの私は、与えられたタスクをきちんとこなすことが仕事でした。
仕様を理解し、手を動かし、期限内に成果を出す。
良くも悪くも、責任の範囲は自分の作業に閉じていました。
それが突然、「チーム全体を見る役割」を任される立場になったことで、
自分の中の前提が一気に崩れた感覚がありました。
「何を基準に判断すればいいのか」
「どこまで自分が決めていいのか」
「失敗したらどうなるのか」
こうした疑問が、頭の中に一気に浮かびました。
けれど、その場で誰かに聞くこともできず、
“リーダーに選ばれたのだから、分かっていて当然だろう”
そんな無言のプレッシャーを、自分で自分にかけていたように思います。
その日の帰り道、これから何をすればいいのかを考えようとしても、
やるべきことが多すぎて、逆に何一つ整理できませんでした。
タスク管理、進捗確認、メンバーとのコミュニケーション、上司への報告。
頭では「全部大事だ」と分かっているのに、
「最初の一歩」がまったく見えなかったのです。
今振り返れば、このとき感じていた不安は、
能力不足というよりも、役割の変化に対する戸惑いでした。
けれど当時の私は、それを冷静に言語化できず、
ただ「自分はリーダーに向いていないのではないか」と
一人で抱え込んでしまっていました。
何から手を付ければいいか分からなくなった理由
リーダーを任された直後、私が一番困ったのは「やる気はあるのに、動けない」という状態でした。
仕事自体が嫌だったわけでも、責任から逃げたかったわけでもありません。
ただ、何から手を付ければいいのかが、本当に分からなかったのです。
その大きな理由の一つは、
「リーダー=全部分かっていて、正しい判断ができる人」
という思い込みでした。
リーダーに選ばれた以上、自分が先頭に立って答えを出さなければいけない。
そう考えるほど、「分からない」と言えなくなり、
分からないまま、頭の中で考え続ける時間が増えていきました。
もう一つの理由は、やるべきことが一気に増えたことです。
自分のタスクに加えて、チーム全体の進捗、メンバーの状況、
上司への報告や調整など、視野を広げる必要がありました。
どれも重要に見えて、どれも後回しにできない。
結果として、優先順位がつけられなくなっていたのです。
さらに厄介だったのは、
「最初に何をすれば正解なのか」という基準が、自分の中になかったことでした。
技術的なタスクであれば、過去の経験や成功パターンがあります。
しかし、リーダー業務には、明確な手順書も正解もありません。
それでも私は、どこかで「最初から正解を選ばなければいけない」と思い込んでいました。
この思考の状態では、行動が止まるのも無理はありません。
間違えたくない、評価を下げたくないという気持ちが先に立ち、
「とりあえず一歩踏み出す」ことができなくなっていたのです。
今振り返ると、
何から手を付ければいいか分からなくなった原因は、
仕事量の多さではなく、役割に対する捉え方にありました。
リーダーになった途端、求められる基準が急に高くなったように感じ、
自分で自分の首を絞めてしまっていたのだと思います。
最初にやってしまった「間違った頑張り方」
リーダーを任された直後、私はとにかく「何かやらなければ」と焦っていました。
何もしない時間が不安で、止まっていると評価が下がる気がして、
目に見える行動を増やすことばかりを考えていたのです。
その結果、最初にやったのは「自分が一番動くこと」でした。
進捗が遅れているタスクを自分で引き取る。
誰かが詰まりそうな作業を、先回りして片付ける。
一見すると、責任感のあるリーダーに見えるかもしれません。
実際、当時の私は「リーダーとして頑張っているつもり」でした。
けれど、この頑張り方には大きなズレがありました。
自分が動けば動くほど、
「チーム全体をどう進めるか」を考える時間が削られていったのです。
目の前の作業に追われ、
気づけばリーダーでありながら、以前と同じプレイヤーの思考に戻っていました。
もう一つやってしまっていたのが、
全部を自分で抱え込もうとしたことです。
分からないことがあっても、すぐに相談せず、
「もう少し自分で考えてから」と先延ばしにしていました。
リーダーになった以上、簡単に頼るべきではない。
そんな思い込みが、行動をさらに重くしていました。
結果として、私は「忙しいけれど、前に進んでいない」状態に陥っていました。
自分はフル稼働しているのに、
チーム全体が楽になっている実感はない。
むしろ、判断が遅れたり、情報共有が後手に回ったりして、
余計に負荷をかけてしまっていた場面もあったと思います。
今振り返ると、この間違った頑張り方の根底にあったのは、
「リーダーは誰よりも頑張っている姿を見せるべきだ」
という思い込みでした。
けれど本当に必要だったのは、
自分が一番忙しくなることではなく、
チームが迷わず動ける状態をつくることだったのです。
途中で気づいた「そもそも考えるべきだったこと」
しばらく経って、ようやく気づいたことがあります。
それは、自分が何をやるかよりも先に、
チームがどういう状態であればいいのかを考えるべきだった、ということでした。
当時の私は、「リーダーとして正しく動こう」とするあまり、
行動レベルの話に意識が向きすぎていました。
誰のタスクを手伝うか、どこまで自分が判断するか、
何を先に片付けるか――
けれど、これらはすべて枝葉の話だったのです。
本当に考えるべきだったのは、
「このチームは今、何に一番困っているのか」
「何が止まると、全体が止まってしまうのか」
という視点でした。
あるとき、進捗が思うように進まない場面がありました。
原因を掘り下げてみると、作業そのものよりも、
判断が止まっていること、情報が共有されていないことが、
チーム全体のブレーキになっていると分かってきました。
その瞬間、ようやく理解したのです。
リーダーの役割は「作業を進めること」ではなく、
判断と情報の流れを止めないことなのだと。
それに気づいてから、少しずつ意識を変えました。
自分で手を動かす前に、
「今、誰が何で困っているのか」を確認する。
完璧な答えがなくても、仮の判断を出し、
チームが前に進める状態をつくる。
間違っていれば、後で修正すればいい。
そう考えるようになってから、肩の力が抜けていきました。
もう一つ大きかったのは、
「リーダーは全部分かっていなくてもいい」と受け入れられたことです。
分からないことは分からないと共有し、
詳しい人に任せる。
その代わり、状況を整理し、判断の場を用意する。
それだけでも、チームは驚くほど動きやすくなりました。
今振り返ると、
そもそも考えるべきだったのは
「自分がどう評価されるか」ではなく、
「チームが止まらずに進めているか」でした。
この視点に切り替えられたことで、
リーダーという役割が、少し現実的なものに見えてきたのです。
初リーダー時代の自分に伝えたいこと
もし、初めてリーダーを任されたあの日の自分に、
何か一言だけ伝えられるとしたら、
「そんなに気負わなくていい」と言いたいです。
当時の私は、
リーダーになった以上、すぐに結果を出さなければいけない、
完璧な判断をしなければいけない、
メンバーからも上司からも、
「頼れる存在」だと思われなければいけない、
そんなふうに自分を追い込んでいました。
でも今なら分かります。
初めてのリーダーで、分からないことが多いのは当たり前です。
それは能力不足でも、準備不足でもなく、
ただ「初めての役割」をやっているだけだったのです。
もう一つ伝えたいのは、
分からないことは、早めに言葉にしていいということです。
強がって抱え込むよりも、
「ここがまだ整理できていない」と共有した方が、
チームはずっと動きやすくなります。
リーダーが弱さを見せることは、
信頼を失うことではありませんでした。
そして、
「自分が一番頑張っている姿」を見せようとしなくていい、
ということも伝えたいです。
リーダーの価値は、忙しさの量では測られません。
静かでも、判断が早く、
チームが迷わず進めているなら、それで十分です。
最後に、
あのとき感じていた不安や戸惑いは、
決して無駄ではなかった、と伝えたいと思います。
迷ったからこそ、考え、
考えたからこそ、今の視点が身につきました。
初リーダー時代の不安は、
後から振り返れば、確実に糧になります。
だからどうか、
「向いていないのでは」と自分を責めずに、
一歩ずつ、自分なりのやり方を探していってほしい。
それで十分、リーダーとして前に進んでいます。
初めてリーダーを任された人へ伝えたい3つの視点
初めてリーダーを任されると、
「何をすれば正解なのか」「どう振る舞えばいいのか」と、
つい“自分の動き”ばかりに意識が向いてしまいます。
けれど、最初の段階で大切なのは、
完璧な行動ではなく、視点の持ち方です。
ここでは、初リーダー時代を振り返って、
「これを知っていれば、もう少し楽だった」と思う3つの視点を共有します。
① まず「チームが止まらない状態」をつくる
初リーダーにとって一番重要な役割は、
チームを速く走らせることではありません。
止まらせないことです。
判断待ちで手が止まっていないか。
情報が足りずに、作業が進められない人はいないか。
この2点を意識するだけでも、
チーム全体の動きは大きく変わります。
完璧な判断である必要はありません。
仮の答えでもいいので、
「今はこう進めよう」と方向を示す。
それだけで、現場は前に進み始めます。
② 自分が全部できる必要はない
リーダーになると、
「自分が一番分かっていなければいけない」
と思い込んでしまいがちです。
でも実際には、
チームには自分より詳しい人、経験のある人が必ずいます。
分からないことは素直に聞く。
判断に迷うことは、一人で抱えず相談する。
その上で、決めるべきところは決める。
この役割分担ができるようになると、
リーダーは一気に楽になります。
自分で全部抱え込むより、
適切に任せ、つなぐ。
それも立派なリーダーの仕事です。
③ 「考えていること」を言語化するだけで状況は変わる
初リーダー時代に意外と効果が大きかったのが、
自分の考えを途中段階でも共有することでした。
「今はここで迷っている」
「この2択で考えている」
「仮でこう進めたいと思っている」
こうした言葉を出すだけで、
メンバーから意見が出たり、
認識のズレが早めに修正されたりします。
結果として、判断もスムーズになります。
リーダーが沈黙して考え込むより、
不完全でも言葉にする方が、
チームはずっと動きやすくなるのです。
この3つの視点は、
派手さはありませんが、
初めてリーダーを任された人にとっては、
確実に助けになる考え方です。
迷いながらでも構いません。
まずはチームを止めず、
一歩ずつ前に進めていけば、
リーダーという役割は、少しずつ自分のものになっていきます。
まとめ|初リーダーは迷っていいし、迷うのが普通
初めてリーダーを任されたときに感じた迷いや不安は、
決して特別なものではありません。
むしろ、それは多くの人が通る、ごく自然な反応です。
リーダーという役割は、
最初から「分かっている人」がなるものではなく、
やりながら少しずつ理解していくものです。
それまでのプレイヤーとしての経験が、
そのまま使えない場面が出てくるのも当然でした。
振り返ってみると、
何から手を付ければいいか分からなくなったのは、
能力が足りなかったからではありません。
役割が変わったのに、
考え方を切り替える時間がなかっただけでした。
迷い、立ち止まり、試行錯誤した経験は、
あとから確実に自分の中に残ります。
その積み重ねが、
判断の軸になり、
チームを見る視点になり、
次の場面での余裕につながっていきます。
もし今、初リーダーとして悩んでいるなら、
「向いていないのでは」と結論を急がなくて大丈夫です。
まずは、チームが止まらずに進めているか。
その一点だけを意識してみてください。
それができているなら、
あなたはもう、リーダーとしての役割を果たしています。
初リーダーは、迷っていい。
そして、迷うのが普通です。
その迷いこそが、
これからのキャリアを支える、確かな土台になっていきます。

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