エンジニアになるには資格が必要?――そんな疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
結論から言えば、「資格がなくてもエンジニアにはなれます」。ただし、未経験からの転職やキャリアアップを目指すうえで、資格が強力な「武器」になることも事実です。
この記事では、未経験からエンジニアを目指す人に向けて、資格の必要性や役立つ場面、おすすめの資格一覧、そして学習の進め方までをわかりやすく解説します。
「どの資格を取れば良いのか分からない」「そもそも本当に必要なの?」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
👉 未経験からエンジニアを目指す手順はこちらの記事で詳しく解説しています
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資格がなくてもエンジニアになれる?
スキル重視の実務現場
エンジニアの採用現場では、「資格よりも実務で使えるスキル」を重視する企業が多いのが実情です。特にWeb系やスタートアップ企業では、即戦力としてコードを書けるか、課題に対して自力で調べて対応できるかといった実践力が重視されます。
たとえば、ポートフォリオサイトやGitHub上の成果物を見て、「この人はちゃんと開発経験があるな」と判断されるケースもよくあります。資格を持っていても、実際に何ができるのかが見えなければ、採用の決め手にはなりにくいのです。
企業側が求めているのは「実際に現場で使える人材」。そのため、未経験でも自分でアプリを作った経験がある人や、プログラミングスクールで開発課題をこなしてきた人のほうが、資格だけを持っている人よりも評価されることが多いのです。
資格がなくても採用されるケース
実際のところ、資格がない状態でもエンジニアとして採用されるケースは少なくありません。とくに未経験者を対象とした求人や、ポテンシャル採用を行っている企業では、「学ぶ意欲」「コミュニケーション力」「課題解決能力」など、人物面や将来性が重視される傾向があります。
たとえば、下記のような場合は資格がなくても採用に至ることがあります。
- 独学やスクールで基礎的なスキルを身につけている
→ HTML/CSSやJavaScriptでWebページを作った経験がある - ポートフォリオでスキルを可視化できている
→ GitHubやポートフォリオサイトで成果物を提示できる - 面接での受け答えがしっかりしていて、学ぶ意欲が伝わる
→ 実務経験はなくても「この人は伸びそう」と思わせる熱意や行動力がある
特にエンジニア不足が深刻な業界では、未経験でもやる気がある人材を採用して、入社後に育成する方針の企業も増えています。
資格を持っていないことを理由に応募をためらう必要はありません。大切なのは、今の自分に何ができるのかをしっかり伝えること。それができれば、資格がなくても十分にチャンスはあるのです。
資格があると有利になる場面とは?
未経験者がスキルをアピールする手段として
未経験からエンジニアを目指す場合、実務経験がないぶん、自分のスキルや学習意欲を客観的に証明する材料が必要になります。その一つとして効果的なのが「資格」です。
たとえば「基本情報技術者試験」や「ITパスポート」といった国家資格は、ITに関する基礎知識を体系的に学んだ証明になります。また、AWSやJavaなど特定分野に特化したベンダー資格も、技術への関心の高さや習熟度をアピールする材料として使えます。
実際の現場では資格よりもスキルが重視されるとはいえ、書類選考や面接の段階では、まだ実力を見せる場が限られています。そこで資格を持っていることで、**「基礎を押さえている人」「学習継続力がある人」**という印象を与えることができます。
特にエンジニア職の選考においては、**「何を学び、どれだけ努力してきたか」**が評価につながります。資格は、未経験者がその努力をわかりやすく伝えるための有効な手段のひとつと言えるでしょう。
企業や職種によっては資格が評価される
すべての企業で資格が重視されるわけではありませんが、企業や職種によっては資格が採用や昇進においてプラス評価されるケースもあります。
たとえば、以下のような場面では資格が強みになります。
- 大手SIerや官公庁向けの開発案件に関わる企業
→ 基本情報技術者や応用情報技術者など、国家資格の保有が評価対象になることが多いです。
→ 社内で資格手当が支給されるケースもあります。 - インフラ系やクラウド関連の職種
→ CCNA、LPIC、AWS認定資格など、技術系ベンダー資格がそのままスキルの証明になるため、実務未経験でも採用や配属の判断材料として使われやすくなります。 - 企業の人事制度として資格取得を推奨している場合
→ キャリアパスや等級制度において、資格取得が昇格条件や評価指標に組み込まれている企業も存在します。
このように、特定の職種や企業文化では、資格が実力の証明として評価されやすく、キャリアアップにも直結することがあります。求人票に「資格保有者歓迎」と記載されている場合などは、取得しておくと選考で有利になる可能性が高いでしょう。
社内昇格やジョブチェンジで有利に働くことも
資格は、転職や就職活動だけでなく、現在働いている会社の中でのキャリアアップやジョブチェンジにも役立つことがあります。
たとえば、以下のようなケースが該当します。
- 昇格要件に資格取得が含まれている場合
→ 一部の企業では、一定の役職に就くために「基本情報技術者」や「応用情報技術者」の取得が必須条件になっていることがあります。 - 異動や職種変更時のアピール材料になる
→ たとえば社内でインフラから開発職へ、あるいは営業職からエンジニア職へ移る際に、関連する資格があれば希望を通しやすくなることがあります。 - スキルの裏付けとして評価されやすい
→ 実務では見えづらい知識や学習姿勢を示す材料として、資格があることで**「向上心がある人」「基礎をきちんと押さえている人」**と評価されることがあります。
特に資格取得を奨励している企業では、資格手当や報奨金が支給されることもあり、収入アップにもつながるケースがあります。
このように、今すぐの転職に使わなかったとしても、中長期的にキャリアを広げていく上で、資格は強力な味方になるのです。
エンジニアにおすすめの資格一覧(目的別)
未経験者におすすめの入門資格
これからエンジニアを目指す方にとって、「何から勉強すれば良いか分からない」というのはよくある悩みです。そんなときは、入門資格の取得を目標にすることで、効率的に基礎知識を身につけることができます。
以下は、未経験者に特におすすめの入門資格です。
■ ITパスポート試験(iパス)
- 難易度:やさしめ|合格率:約50%
- 対象:IT初心者・社会人全般
- 学べること:ITの基本知識(ハード・ソフト・ネットワーク・セキュリティ・業務知識など)
IT業界に限らず、現代のビジネスパーソン全体に推奨されている国家資格です。エンジニアを目指す前段階として、「ITとは何か?」を体系的に理解するのに最適です。
■ 基本情報技術者試験(FE)
- 難易度:やや高め|合格率:約25%〜30%
- 対象:ITエンジニア志望の人
- 学べること:アルゴリズム、データベース、ネットワーク、セキュリティ、IT戦略など
IT業界では非常に評価が高い国家資格です。プログラミングやシステムの仕組みを学びながら、実践的な知識を習得できるため、未経験者が「基礎力」を証明するのにぴったりです。就職活動でもアピール材料になります。
■ G検定(ジェネラリスト検定)
- 難易度:中程度|合格率:約60%(変動あり)
- 対象:AIやデータ活用に興味がある方
- 学べること:AIの基礎知識、機械学習、倫理・社会との関係
AIに興味のある方は、この資格からスタートするのもおすすめです。コードを書かずにAIの全体像を理解できるため、文系出身者にも適しています。
これらの資格は、実務経験がなくても努力と理解力を証明できる手段になります。転職活動やスクール入学時の面談などでも、「本気で学んでいる人」という印象を与えることができるでしょう。
インフラ系エンジニアにおすすめ
インフラ系エンジニアを目指すなら、ネットワークやサーバー、クラウドに関する知識を証明できる資格があると、学習の指針にもなり、転職や配属時に有利です。特に以下の資格は、未経験者でも比較的取り組みやすく、評価されやすい資格です。
■ CompTIA IT Fundamentals(ITF+)
- 難易度:入門レベル
- 対象:IT未経験者、初心者向け
- 学べること:PC・ネットワーク・セキュリティの基礎
インフラ領域の土台となる知識を広くカバーしています。IT業界の用語に不慣れな方でも取り組みやすく、「これからインフラに進みたい」と考えている方の初学者向け資格です。
■ LPIC(Linux技術者認定資格)
- 難易度:中級(LPIC-1)|受験者数も多い定番資格
- 対象:Linuxサーバーの基礎を学びたい方
- 学べること:Linuxの操作、ユーザー管理、ネットワーク設定など
多くのWebシステムやサーバーがLinux上で動いているため、Linuxの基礎操作を理解しておくと、インフラ現場で非常に役立ちます。LPIC-1は特に未経験からの最初の一歩として定番の資格です。
■ CCNA(Cisco Certified Network Associate)
- 難易度:やや高め|ネットワーク資格の定番
- 対象:ネットワークエンジニア志望の方
- 学べること:ルーティング、スイッチング、IP、セキュリティなど
ネットワークエンジニアを目指すなら、業界標準ともいえる資格です。内容は実務寄りでボリュームもありますが、しっかり勉強すれば未経験でも取得可能。企業によっては資格保有者を優先的に採用していることもあります。
■ AWS認定 クラウドプラクティショナー
- 難易度:初級|クラウド入門に最適
- 対象:クラウドに関心がある初心者
- 学べること:AWSの基本サービス、セキュリティ、請求モデルなど
今や多くの企業がAWSを導入しており、クラウドに関する知識はインフラ職でも必須スキルとなっています。AWS認定資格の中でも最もやさしい入門資格なので、初めての方にもおすすめです。
インフラ系は「資格でスキルの証明がしやすい分野」でもあるため、未経験者ほど早い段階で資格学習を取り入れると効果的です。学びながら理解を深め、自信を持って応募できるようになります。
Web・アプリ開発系におすすめ
Webサービスやスマホアプリの開発を目指す場合、プログラミング言語や開発フレームワークに関する知識を証明できる資格を取得することで、スキルを客観的にアピールできます。実務では資格が必須ではありませんが、学習のモチベーション維持や転職時の評価材料として有効です。
■ Javaプログラミング能力認定試験(Java Bronze / Silver)
- 難易度:Bronzeは入門、Silverは基礎実力が問われる
- 対象:Javaエンジニア志望の方
- 学べること:Java文法、制御構文、オブジェクト指向の基礎
Javaは業務システムやAndroidアプリなど幅広く使われているため、安定した需要があります。未経験者が「きちんと基礎を学んだ」ことを示すのに効果的な資格です。Silverを持っていると、企業によっては実務配属の目安になることも。
■ Python3エンジニア認定基礎試験
- 難易度:入門〜中級
- 対象:Pythonに興味がある方、AIやデータ分析を視野に入れている方
- 学べること:Python文法、データ構造、関数の使い方など
PythonはWeb開発だけでなく、AI、データ分析、業務自動化などさまざまな分野で活用されている人気言語です。この資格は実務経験がなくても比較的取り組みやすく、スキルの証明に使えます。
■ HTML5プロフェッショナル認定試験(レベル1)
- 難易度:中級|フロントエンド志望者に最適
- 対象:Web制作やUI開発に関わりたい方
- 学べること:HTML/CSS/JavaScriptの基礎、Web標準の理解
Webページの構造やデザイン、動きの基本を学びたい方におすすめの資格です。フロントエンドエンジニアやマークアップエンジニアを目指す方の最初の一歩として活用されています。
■ PHP技術者認定試験
- 難易度:入門〜中級(初級・上級がある)
- 対象:Web系バックエンドの学習をしている方
- 学べること:PHP文法、Webアプリケーションの構造理解
PHPは多くのWebサービスで使われている言語で、WordPressのカスタマイズや中小企業の開発現場で特に需要があります。資格を通じてバックエンドの基本を学ぶことができます。
Web系やアプリ開発の分野では、資格に加えて実際の開発経験やポートフォリオの有無が重視される傾向にあります。そのため、資格取得と並行して、簡単なWebアプリや個人制作物を作ることもおすすめです。
将来キャリアアップを狙うなら
エンジニアとして実務経験を積んだあと、より高度なポジションや専門分野での活躍を目指す場合、中級〜上級レベルの資格取得がキャリアアップの大きな武器になります。特に、マネジメントやアーキテクト職へのステップアップを考えている方にとっては、資格が昇進や職域拡大の後押しとなるケースが多いです。
■ 応用情報技術者試験(AP)
- 難易度:中〜上級|合格率20〜25%
- 対象:基本情報取得後、さらに知識を深めたい方
- 学べること:IT戦略、セキュリティ、プロジェクト管理、アルゴリズムなど
国家資格としての信頼性が高く、SEやPM(プロジェクトマネージャー)を目指す人に非常に有用です。一部企業では昇進や資格手当の条件として指定されていることもあります。
■ PMP(Project Management Professional)
- 難易度:上級|国際資格
- 対象:マネジメント志向の中堅エンジニア
- 学べること:プロジェクトマネジメントの実践的手法(PMBOK)
グローバルに通用するプロジェクトマネジメントの資格で、プロジェクトリーダーやマネージャーへのキャリアアップに非常に有利です。取得には一定の実務経験と学習時間が必要ですが、そのぶん評価される場面も多くあります。
■ データスペシャリスト・AI関連資格(例:JDLA E資格)
- 難易度:中〜上級
- 対象:データ分析、AI、機械学習に関心がある方
- 学べること:統計学、Pythonによる機械学習、ディープラーニングの理論と実装
今後さらに需要が高まるAI・データ分野においては、専門資格がスキルの証明や社内の異動・昇進の根拠になります。実務経験と組み合わせて持っておくことで、希少価値の高い人材として評価される可能性が高まります。
■ AWS認定 ソリューションアーキテクト – アソシエイト / プロフェッショナル
- 難易度:中級〜上級
- 対象:クラウド設計やアーキテクチャに関わりたい方
- 学べること:クラウド設計、セキュリティ、高可用性、コスト最適化など
クラウドスキルの証明として業界で高く評価される資格です。とくに「プロフェッショナル」レベルを取得すると、クラウドアーキテクトやDevOpsエンジニアとしての市場価値が一気に高まります。
これらの資格は簡単には取得できませんが、**努力と知識の深さを証明できる「キャリアの肩書き」**として、確実に評価されます。エンジニアとして長く活躍したい方にとって、将来の武器として検討する価値は十分にあります。
資格取得のための学習方法と注意点
独学 vs スクール
資格取得やスキル習得に取り組む際、多くの人が悩むのが「独学とスクール、どちらがいいのか?」という点です。結論としては、自分の性格・目的・学習スタイルによって最適な方法は異なります。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを整理して比較してみましょう。
■ 独学のメリット・デメリット
メリット:
- 費用を抑えられる(書籍代や無料サイトで学べる)
- 自分のペースで学習できる
- 調べる力や自走力が身につく
デメリット:
- つまずいても質問できない
- 学習計画や理解度の確認が難しい
- モチベーションの維持が課題
独学は**「一人でコツコツ進められるタイプ」や「時間に融通がきく人」**に向いています。無料・低コストで始めたい方にもおすすめです。
■ スクールのメリット・デメリット
メリット:
- カリキュラムが整っており、学習効率が高い
- 質問・相談できる環境がある
- モチベーションを保ちやすい(仲間・講師の存在)
- 転職サポートやポートフォリオ添削なども受けられる
デメリット:
- 受講費用が高め(数万円〜数十万円)
- 時間やスケジュールの制約がある
スクールは、**「短期間で集中して学びたい人」や「何をどこまで学べばよいか分からない人」**に適しています。特に未経験からの転職を目指す場合、就職支援があるスクールを選ぶことで、効率的なキャリア構築が可能です。
どちらを選ぶにせよ大切なのは、**「継続できる学習環境を整えること」**です。まずは独学で始めてみて、必要に応じてスクールを検討するのも一つの手です。
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勉強時間の目安と学習スケジュール例
資格取得やスキル習得を目指すうえで、「どれくらい勉強すればいいのか?」という疑問を持つ方は多いはずです。学習時間の目安を知っておくことで、現実的なスケジュールを立てやすくなります。ここでは、主要な資格ごとの勉強時間の目安と、未経験者向けのスケジュール例をご紹介します。
■ 資格別の学習時間の目安(未経験者向け)
資格名 | 学習時間(目安) | 難易度 | 特徴 |
---|---|---|---|
ITパスポート | 約50〜80時間 | ★☆☆ | 基礎知識の理解が中心。社会人なら1〜2ヶ月で合格可能。 |
基本情報技術者試験 | 約150〜200時間 | ★★☆ | 午前と午後の試験対策が必要。文系出身でも3ヶ月程度で合格可能。 |
AWSクラウドプラクティショナー | 約30〜50時間 | ★☆☆ | クラウド未経験でも短期間で取得可能。 |
Java Bronze | 約50時間 | ★☆☆ | 文法中心。入門用として最適。 |
Java Silver | 約150時間 | ★★☆ | 実務寄りの内容。開発の基礎を深く学べる。 |
■ スケジュール例(平日忙しい社会人向け)
目標:基本情報技術者試験に3ヶ月で合格する場合(150時間)
- 平日(週5日):1時間 × 5日 = 週5時間
- 休日(週2日):3時間 × 2日 = 週6時間
→ 合計:週11時間 × 13週 = 約143時間
これにより、平日1時間・休日3時間というペースでも、無理なく3ヶ月で合格を狙うことが可能です。
■ 学習継続のコツ
- 毎日の学習ルーチンを決める(例:出勤前に30分)
- 学習時間より「学習頻度」を重視する
- アプリや学習ログで進捗を「見える化」する
- 模擬試験・過去問は早めに着手して実力チェック
「やる気があるときだけやる」ではなく、生活の中に“学習習慣”を組み込むことが継続の鍵です。
自分のペースを大切にしつつ、現実的なスケジュールを立てることで、未経験者でも着実に合格を目指すことができます。
資格よりも大事なこととは?
ポートフォリオと実務経験
エンジニアの採用現場では、資格よりも**「実際に何ができるのか」**が重視される傾向があります。そのため、未経験者がスキルをアピールするうえで強力な武器となるのが、ポートフォリオと実務経験です。
■ ポートフォリオとは?
ポートフォリオとは、自分で作成したアプリやWebサービスなどの成果物をまとめたものです。GitHubやポートフォリオサイトにコードや画面キャプチャを掲載し、「どんな技術を使って何を作ったのか」を明示することで、スキルを視覚的に伝えることができます。
例:
- オリジナルのToDoアプリやブログサイト
- チーム開発で作成したアプリケーション
- スクール課題で制作したWebサービス
ポートフォリオは、「自走力」「設計力」「コードの質」などを見られるポイントになるため、たとえ実務経験がなくても、自分の成長を示す材料として非常に効果的です。
■ 実務経験の重要性
一方、実務経験は「職場で実際に動いているシステムの開発や保守に携わった経験」を指します。チームでの開発や、納期・品質を意識した業務経験があることで、エンジニアとしての信頼度が一気に高まります。
企業側から見ると、資格やポートフォリオだけでは分からない「実務的な対応力」や「コミュニケーション力」などを、実務経験から読み取ることができます。
■ 資格は“補助”、ポートフォリオと実務が“本丸”
資格は「知識がある証明」にはなりますが、**最終的に採用を決めるのは“実践力”**です。だからこそ、未経験者でも以下のような順序で進めるのが理想です:
- 資格学習で基礎を固める
- ポートフォリオを制作してアウトプットする
- 実務経験を積む(インターン、業務委託、就職など)
この流れを意識すれば、資格取得も無駄にならず、着実にキャリアを前進させることができます。
👉ポートフォリオの作り方はこちらを参考にしてみてください
エンジニア転職で内定を勝ち取る!ポートフォリオの作り方と採用担当者が見るポイント
コミュニケーション力や問題解決能力
エンジニアというと「パソコンに向かって黙々と作業する仕事」というイメージを持たれがちですが、実際の現場では人とのコミュニケーションが非常に重要です。とくに未経験からの転職では、「技術スキル+α」の部分が評価の決め手になることも少なくありません。
■ エンジニアはチームで動く仕事
多くの開発プロジェクトは複数人のチームで進められます。その中でエンジニアは、仕様の確認、課題の共有、進捗の報告など、さまざまな場面でコミュニケーションが求められます。いくら技術力があっても、「報・連・相」ができない人は現場で信頼されにくいのが現実です。
■ 問題解決能力も重視される
開発や運用の現場では、想定外のバグやトラブルが発生することも日常茶飯事です。そんなときに求められるのが、「自分で調べて解決する力」や「冷静に原因を分析する姿勢」です。
これがいわゆる**“問題解決能力”**であり、現場で活躍できるエンジニアとそうでない人の違いになる部分でもあります。
■ 資格では測れない「人としての力」
資格は知識や学習意欲の証明になりますが、実際の仕事で成果を出せるかどうかは、ヒューマンスキルが大きく関わってきます。特に未経験の場合は、面接や現場配属で「この人と一緒に仕事ができそうか」という観点で見られることが多いため、普段から丁寧な受け答えや、わからないことを素直に聞く姿勢を大切にしましょう。
つまり、エンジニアとして評価されるには、**「技術力 × 人間力」**の両輪が必要です。資格やスキルだけに偏らず、日々の行動や姿勢も意識していくことが、結果としてキャリアの成長につながっていきます。
まとめ|資格は「必要」ではないが「武器」になる
目的とキャリアに合わせて選ぼう
資格は、ただなんとなく取得するのではなく、「自分の目的」や「今後のキャリアプラン」に合わせて選ぶことが大切です。たとえば、同じエンジニア職でも、インフラ系・Web系・マネジメント志向など、進みたい方向によって求められるスキルや知識は異なります。
■ 目的別に資格を選ぶ例
- まずはIT業界の基礎を学びたい → ITパスポート、基本情報技術者
- インフラエンジニアを目指したい → CCNA、LPIC、AWS認定資格
- Webエンジニアになりたい → Java/PHP/Python系資格、HTML5認定
- 将来的にPMやリーダーを目指したい → 応用情報技術者、PMP
- AI・データ分析に関心がある → G検定、E資格、Python認定
■ 「周りが取っているから」ではなく「自分に必要か」で判断を
よくある失敗は、「資格を取れば評価されるはず」と考えて、目的と関係のない資格に時間とお金をかけてしまうケースです。資格はあくまでスキルや知識を証明する手段であり、「何をしたいか」が明確でないと学習のモチベーションも維持しにくくなります。
■ キャリアのステージごとに見直すのも大切
未経験からエンジニアになる段階では「基礎力の証明」、数年後には「専門性や上流工程の知識」、さらにその先には「マネジメントや戦略的視点」が求められます。キャリアのフェーズに応じて、必要な資格も変わってくるため、定期的に見直していくとよいでしょう。
自分にとって「この資格は何のために取るのか?」を考えることが、資格を“本当に役立つ武器”に変える第一歩です。
実務スキルと並行して取得がおすすめ
資格は知識の証明として非常に有効ですが、それだけでエンジニアとして即戦力になれるわけではありません。もっとも大切なのは「実務で使えるスキル」を身につけること。だからこそ、資格取得は実務スキルと並行して進めるのが理想的です。
■ 資格勉強だけに偏るリスク
「資格をたくさん取れば評価される」と思い込んでしまうと、勉強ばかりに時間を使ってしまい、実際の開発経験やアウトプットが不足するという落とし穴にはまりがちです。資格を取っても、「何ができるの?」と面接で聞かれて答えに詰まってしまうことも。
■ 理想は「学んだことをすぐ手を動かして試す」こと
たとえば基本情報技術者の勉強でアルゴリズムを学んだら、実際に簡単なコードを書いてみる。AWSの資格勉強をしているなら、無料枠でEC2やS3を触ってみる。このように、「インプット(資格勉強)」と「アウトプット(実践)」をセットで行うことが、知識の定着にも、成長にもつながります。
■ 実務経験と資格はお互いを補完する関係
実務経験があると、資格の内容がより深く理解でき、逆に資格を持っていると実務でも役立つ知識が増えます。どちらか一方だけでなく、バランスよく積み上げていくことで、エンジニアとしての総合力が高まっていくのです。
特に未経験からキャリアを始める方は、ポートフォリオ制作や簡単な案件での実務経験を積みながら、資格勉強を“補強材料”として活用するのが効果的です。
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