コードレビューで、
「毎回指摘が多い」
「修正はしているのに、なぜか評価が上がらない」
そんな経験はありませんか?
レビューは単なるコードチェックの場ではありません。
実際の現場では、コード以上に
「どのように考え、どう伝えているか」 が見られています。
同じ実装でも、
- 評価される人
- 何度も指摘され続ける人
が分かれるのは、
技術力の差ではなく 思考と伝え方の差 です。
本記事では、
レビューで評価されているエンジニアが共通して持っている
- 考え方のポイント
- レビュー前後の立ち回り
- 信頼を積み上げる伝え方
を、実務目線で解説します。
レビューを「怖い場」から
「評価されるチャンス」 に変えたい方は、
ぜひ最後まで読んでみてください。
現場で評価されるエンジニアの実務スキル全体像はこちら
👉現場で評価されるエンジニアに共通する5つの実務スキル|20〜40代で差がつく仕事術
なぜレビューで差がつくのか?
レビューで差がつく理由は、
コードの良し悪しだけではありません。
実際の現場では、
レビューは「成果物」よりも「仕事の進め方」を見る場
として使われています。
① レビューは「コードチェックの場」ではない
多くのエンジニアが、
レビューをこう捉えています。
「バグがないか」
「書き方が正しいか」
もちろんそれも重要ですが、
レビューする側が本当に見ているのは、
もっと別のポイントです。
- なぜこの実装を選んだのか
- どこまで考えた上で書かれているか
- 将来の変更を意識しているか
つまり、
コードの裏にある思考 を見ています。
② レビューは「安心して任せられるか」を判断する材料
レビューをする立場の人は、
常にこう考えています。
「この人に次も任せて大丈夫か?」
その判断材料が、
レビューでの振る舞いです。
- 判断理由を説明できる
- 指摘の意図を理解しようとする
- 同じ指摘を繰り返さない
こうした姿勢が見えると、
「安心して任せられる人」という評価につながります。
③ 同じコードでも、評価が変わる理由
実は、
- コードの完成度
- 実装の難易度
が同じでも、
評価が変わるケースは珍しくありません。
差が出るのは、
- コメントで意図が共有されているか
- 悩んだポイントが伝わっているか
- 修正後の理解が見えるか
といった 伝え方の部分 です。
レビューは、
一種のコミュニケーション でもあるのです。
④ 指摘が多い=能力が低い、ではない
指摘が多いと、
- 自分はダメだ
- スキルが足りない
と感じてしまいがちです。
しかし実際は、
「思考が見えていないから、確認されている」
というケースが非常に多いです。
考えたことが伝わらなければ、
レビューする側は不安になります。
その結果、
細かい指摘が増えてしまいます。
⑤ レビューは「評価の場」でもある
レビューは、
- 品質を高める場
- ナレッジを共有する場
であると同時に、
評価の場 でもあります。
- どこまで考えているか
- どう成長しているか
- 次に任せられるか
が、
日々のレビューを通して判断されています。
レビューで差がつく本当の理由
レビューで差がつく理由をまとめると、
こうなります。
- コードではなく「思考」が見られている
- 技術より「再現性・安心感」が評価されている
- 伝え方次第で、同じ実装でも印象が変わる
レビューで評価されない人のよくある思考パターン
レビューでなかなか評価につながらない人には、
共通した「思考のズレ」があります。
これはスキル不足ではなく、
レビューに対する捉え方の問題 であることがほとんどです。
①「動けばOK」と思っている
最も多いのがこのパターンです。
- エラーが出ない
- 要件は満たしている
これだけで
「十分だろう」と考えてしまう。
しかしレビューでは、
「なぜこの書き方なのか」
「他の選択肢はなかったのか」
が必ず見られています。
動くだけのコードは、
評価のスタートラインに立っただけ です。
② 指摘=ダメ出しだと思ってしまう
指摘を受けると、
- 否定された気がする
- 防御的になる
- 反論したくなる
という反応になりがちです。
しかしレビューの指摘は、
「もっと良くするための確認」
であることがほとんどです。
ここで感情的になると、
評価は下がってしまいます。
③ なぜその実装にしたか説明できない
- なんとなく
- いつもこう書いているから
- 以前も同じようにした
この状態では、
レビューする側は不安になります。
説明できない=
自分でも判断軸が曖昧 というサインです。
④ 修正して終わり、振り返らない
指摘を受けて、
- 言われた通り直す
- その場は通過する
これを繰り返していると、
同じ指摘を何度も受けることになります。
レビューで評価される人は、
- なぜ指摘されたのか
- 他の箇所にも当てはまるか
まで考えています。
⑤ レビューを「怖い場」として避けている
- できるだけコメントを書かない
- 早く終わらせたい
- 目立ちたくない
こうした姿勢は、
「考えていない人」という印象を与えてしまいます。
レビューは避けるほど、
評価のチャンスも減っていきます。
⑥ 自走力とレビューを切り離して考えている
レビューを、
- 他人にチェックされる場
- 自分は受け身
と捉えていると、
成長は止まります。
実際にはレビューは、
自走力を最も見られる場
です。
思考が変われば、レビューの見え方が変わる
ここで挙げた思考パターンは、
誰もが一度は通るものです。
重要なのは、
- 気づくこと
- 意識して修正すること
評価される人ほど、仕事の進め方にも共通点があります
👉仕事が早いエンジニアは何が違うのか?生産性の仕組みを解説
レビューで評価されるエンジニアの思考法
レビューで評価されるエンジニアは、
コードを書く前から レビューを意識して仕事をしています。
ポイントは、
「正しいコードを書くこと」ではなく、
レビューする側が安心できる思考をしているか です。
① 常に「目的」と「前提」を明確にしている
評価されるエンジニアは、
- 何を実現したいのか
- どんな制約があるのか
を自分の中で整理した上で実装します。
そのため、
- なぜこの実装なのか
- なぜこの構成なのか
を聞かれても、
すぐに説明できます。
レビューでは、
判断の軸が見えること自体が評価 につながります。
② 複数の選択肢を想定した上で決めている
レビューで評価される人は、
「これしかない」
という考え方をしません。
- A案とB案を比較した
- その上で今回はAを選んだ
というプロセスを持っています。
完璧な判断でなくても、
考えた痕跡があること が重要です。
③ レビューは「品質を上げる共同作業」だと考えている
評価されるエンジニアは、
レビューを敵対的に捉えません。
- 自分のコードを守る場ではない
- 正しさを証明する場でもない
レビューは、
より良い形を一緒に作る場
という認識を持っています。
この姿勢が、
指摘への受け止め方や返信にも自然と表れます。
④ 指摘の背景・意図を理解しようとする
評価される人は、
- 何を直せばいいか
- どう直すか
だけで終わりません。
- なぜその指摘が出たのか
- どんなリスクを避けたいのか
まで考えます。
その結果、
- 次から同じ指摘を受けない
- 他の箇所にも応用できる
という成長につながります。
⑤ レビューを「自走力のアピールの場」と捉えている
レビューは、
- 思考
- 判断
- 再現性
が最も分かりやすく表れる場です。
評価されるエンジニアは、
「ここでどう考えているかを伝えよう」
という意識を持っています。
だからこそ、
- コメントを書く
- 悩んだ点を共有する
- 判断理由を説明する
といった行動が自然に出てきます。
レビューで評価される人は「準備」が違う
ここで紹介した思考法は、
レビュー中だけのものではありません。
- 実装前
- 実装中
- レビュー後
すべてに共通しています。
レビューで評価される人は、設計段階から差が出ています
👉実務で使える“設計力”の鍛え方|未経験〜中堅の壁を突破する方法
レビューで差がつく「伝え方」の具体例
レビューで評価されるかどうかは、
コードそのものより 「どう伝えているか」 に大きく左右されます。
ここでは、
実務でそのまま使える伝え方を具体例つきで紹介します。
① レビュー前に書いておくと評価が上がるコメント
評価されるエンジニアは、
レビューを投げる前に 最低限の情報を共有 しています。
❌ ありがちな例
実装しました。レビューお願いします。
⭕ 評価される例
【実装方針】
・◯◯の要件を満たすため、△△の構成にしています
・A案とB案で迷いましたが、将来の拡張を考えてA案を採用しました
【確認してほしい点】
・責務の切り分けが適切か
・この構成で問題なさそうか
👉
「考えたこと」「判断理由」「見てほしい点」
が書かれているだけで、
レビューする側の安心感は大きく変わります。
② 悩んだポイントを隠さない
「分からなかった」「迷った」ことを
隠そうとする人は多いですが、逆です。
⭕ 評価される伝え方
ここは処理を分けるか迷いましたが、
今回は変更頻度が低そうなのでこの形にしています。
もし他に良い案があれば教えてください。
👉
悩みを共有できる人は、
自走力がある人 として評価されます。
③ レビュー指摘への正しいリアクション
指摘を受けたときの反応も、
評価を大きく左右します。
❌ NG例
- 「了解です(理由を聞かない)」
- 「前も同じ書き方でした」
- 「とりあえず直しました」
⭕ OK例
ご指摘ありがとうございます。
◯◯の観点が抜けていました。
今回のケースでは△△がリスクになる、という理解で合っていますか?
👉
理解しようとする姿勢 が伝わると、
信頼が積み上がります。
④ 修正後に「理解したこと」を一言添える
修正後に一言添えるだけで、
レビューの印象は大きく変わります。
⭕ 評価される一言
ご指摘を踏まえ、◯◯の責務が重くならないよう分割しました。
同様のケースではこの考え方を意識します。
👉
「次も任せられる人だな」と思ってもらえるポイントです。
⑤ 反論ではなく「前提の確認」をする
意見が分かれる場合もあります。
そのときは、
反論ではなく 前提の確認 に切り替えます。
⭕ 建設的な伝え方
前提として◯◯の利用頻度は低い想定でしたが、
もし高くなりそうであれば設計を変えた方が良さそうですね。
👉
対立ではなく 共同作業 に変わります。
⑥ コメントは「自分のため」に書く
評価されるエンジニアは、
- レビューコメント
- 修正理由
を 自分の成長のため に書いています。
結果として、
- 思考が整理される
- 同じ指摘を受けなくなる
- レビューが楽になる
という好循環が生まれます。
伝え方が変わると、レビューは怖くなくなる
ここで紹介した伝え方は、
特別なスキルを必要としません。
- 少し説明を足す
- 少し言葉を変える
それだけで、
- レビューの質
- 周囲の評価
- 自分の成長速度
が大きく変わります。
レビュー力が上がると、キャリアはどう変わるか?
レビュー力は、
単なるコミュニケーションスキルではありません。
実務の現場では、
レビューでの振る舞いが、そのまま評価とキャリアに反映 されます。
① 指摘が減り、裁量が増える
レビュー力が上がると、
- 事前に意図が共有されている
- 判断理由が明確
- 変更点が想定されている
状態でコードが出てくるようになります。
その結果、
- 細かい指摘が減る
- 「任せて大丈夫」という認識になる
- 確認コストが下がる
ため、
裁量の大きい仕事を任されやすくなります。
② 設計・上流工程に呼ばれやすくなる
レビューで評価される人は、
- 実装の話だけでなく
- 設計や方針の話ができる
という印象を持たれます。
その結果、
- 設計レビュー
- 仕様検討
- 技術的な意思決定
といった、
一段上の工程に関わる機会 が増えていきます。
③ チーム内での信頼が安定する
レビュー対応が丁寧な人は、
- 話が通じる
- 指摘の意図を汲んでくれる
- 同じミスを繰り返さない
と認識されます。
この信頼は、
- リーダー
- 他メンバー
- 将来の評価者
に、
長期的に積み上がっていく資産 になります。
④ 評価・年収アップにつながりやすくなる
レビュー力が高いエンジニアは、
- 手戻りが少ない
- 成果が安定している
- 周囲の負担を減らしている
ため、
評価理由が明確です。
結果として、
- 昇給・昇格
- 高評価レビュー
- 単価交渉
につながりやすくなります。
⑤ フリーランス・外部案件でも強くなる
レビュー力は、
社内だけでなく外部案件でも強力です。
- 判断理由を説明できる
- 合意形成ができる
- 信頼関係を作れる
人は、
- 継続案件
- 高単価案件
- 相談される立場
になりやすくなります。
レビュー力は「評価される自走力」そのもの
レビュー力が高いということは、
- 考えている
- 伝えられる
- 改善できる
ということです。
これは、
自走力・設計力・生産性 の集約点でもあります。
レビュー力は市場価値にも直結します
👉エンジニアの市場価値を上げる方法|5年目以降で差がつくスキルと働き方
今日からできるレビュー改善アクション
レビュー力を高めるために、
特別なスキルや経験は必要ありません。
重要なのは、
レビュー前・レビュー中・レビュー後の行動を少し変えること です。
ここでは、今日からすぐ実践できる改善アクションを紹介します。
① レビュー前に必ずやる3つのチェック
レビューに出す前に、
次の3点を自分で確認してください。
- この実装の目的は何か説明できるか
- なぜこの書き方・構成を選んだか言えるか
- 他に迷った案はなかったか
これを自分で整理してからレビューに出すだけで、
- 指摘の数が減る
- レビューが建設的になる
- 「考えている人」という印象になる
という効果があります。
② レビューコメントに“意図”を一言添える
コードだけを見せるのではなく、
考えたことを少しだけ言葉にする のがポイントです。
例
・将来この処理が増える可能性があるため、先に分離しています
・責務が重くなりそうだったので、ここでクラスを切りました
長い説明は不要です。
一言あるだけで、思考が伝わります。
③ 指摘を受けたら「理解の確認」をする
指摘を受けたときは、
- すぐ直す
- 反論する
の前に、
理解が合っているかを確認 しましょう。
例
理解としては、◯◯の場合に将来変更が難しくなる点が懸念、という認識で合っていますか?
この一言で、
- 学びの深さ
- 成長意欲
が伝わります。
④ 修正後に“学んだこと”を一言残す
修正して終わりにせず、
何を学んだかを言葉にする ことが重要です。
例
ご指摘ありがとうございます。
今回の件で、◯◯の責務はここまでに留める方が良いと理解しました。
これにより、
- 同じ指摘を受けにくくなる
- レビューする側の信頼が上がる
という効果があります。
⑤ 指摘内容を「他にも当てはまらないか」考える
レビューでの指摘は、
その箇所だけの問題ではないことが多いです。
- 他のクラス
- 他の処理
- 今後の実装
にも当てはまらないか、
一度だけ考えてみてください。
これができるようになると、
レビュー力は一段階上がります。
⑥ レビュー後に1分だけ振り返る
レビューが終わったら、
- なぜこの指摘が出たか
- 次はどう気をつけるか
を 1分だけ 振り返ります。
メモに一行残すだけで十分です。
この積み重ねが、
レビューを「作業」から
成長の場 に変えてくれます。
⑦ 完璧を目指さず、早めに出す
レビューを怖がって、
- できるだけ完成させてから出す
- 見せるのを遅らせる
のは逆効果です。
評価されるエンジニアほど、
「早めに方向性を確認する」
という動きをしています。
小さな行動が、レビュー力を変える
ここで紹介した改善アクションは、
どれも特別なことではありません。
- 少し考え方を変える
- 少し言葉を足す
それだけで、
- レビューの質
- 周囲の評価
- 自分の成長速度
が確実に変わります。
まとめ|レビューは「評価される思考」を見せる場
レビューで差がつく理由は、
コードの良し悪しだけではありません。
実際の現場では、
どのように考え、どう伝え、どう改善できるか
が常に見られています。
レビューで評価されるエンジニアは、
- 実装の目的を言語化できる
- 判断理由を説明できる
- 指摘の意図を理解し、次に活かせる
という 再現性のある思考 を持っています。
一方で、
評価されない人の多くは、
- 動けばOKと考えてしまう
- 指摘をダメ出しと受け取ってしまう
- 修正して終わりにしてしまう
といった、
思考や伝え方の部分で損をしている ケースがほとんどです。
レビューは、
ミスを指摘される場でも、
評価を下げられる場でもありません。
むしろ、
自分の思考・判断・成長を見せるための絶好の機会
です。
少し伝え方を変えるだけで、
- 指摘は減り
- 信頼は積み上がり
- 任される仕事の質が変わります。
今日からできる小さな改善を積み重ねることで、
レビューは「怖いもの」から
評価と成長につながる武器 に変わっていきます。
ぜひ次のレビューから、
「評価される思考を見せる」 ことを意識してみてください。
きっと、
周囲の反応と自分自身の手応えが変わるはずです。
レビュー力を含めたスキルアップの考え方はこちら
👉業務だけに頼らない!経験者のためのスキルアップ学習法

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