「年収が高い=良い転職先」だと思っていませんか?
確かに収入アップは魅力的ですが、実際には「高収入でも消耗するエンジニア」は少なくありません。
私自身も転職時に「給与条件」ばかりに目が行き、入社後に想像以上の長時間労働と納期プレッシャーに苦しんだ経験があります。
本記事では、“年収だけで会社を選ぶと失敗する理由” と、“後悔しない職場の見極め方” を、現役エンジニアの実体験と市場データをもとに解説します。
🧭なぜ「年収アップ転職」で失敗するのか
求人票の“高年収”は条件付きである
転職サイトで「年収600〜900万円」と書かれていても、その上限は特定条件を満たした場合のみであることが多いです。
たとえば以下のようなケースです:
- 実績評価で上位10%の社員のみが該当
- 残業代込みの“みなし年収”
- プロジェクトマネージャー級のポジションを想定
つまり、求人票の数字=実際の年収ではないという点に注意が必要です。
転職エージェントや口コミサイトで“平均年収”や“実際のレンジ”を確認しておくことが大切です。
高収入の裏に「高負荷」が潜んでいる
エンジニア業界では、年収と業務負荷が比例する傾向があります。
特にSIerや受託開発では、納期前のリリースラッシュ・休日対応などが当たり前という現場も少なくありません。
💬 例)
「年収800万円」でも月100時間残業しているなら、実質時給は「普通の会社」と大差ありません。
高収入は一見魅力的ですが、**「どんな働き方でその収入を得ているか」**を見ないと、入社後にギャップを感じやすいのです。
「成長より年収」を優先するとキャリアが止まる
転職初期は「年収アップ=成功」と感じがちですが、実際には “スキル成長が止まる環境” に入ってしまうリスクもあります。
例えば:
- 古い技術スタックを使い続けている
- ドキュメントがなく、属人的な開発体制
- 教育・レビュー文化がない
短期的には給与が上がっても、市場価値の上昇スピードが止まるため、2社目・3社目の転職で苦戦します。
転職のゴールを「年収」ではなく「スキルの伸び・働き方の質」に置くことが、長期的な安定につながります。
短期的な“年収アップ”よりも、長期的に成長できる環境を選ぶ考え方はこちらで詳しく解説しています。
👉 「エンジニアは“爆発力”より“持久力”|燃え尽きずにスキルを伸ばし続ける思考と習慣」
高収入でも“消耗”する職場の特徴
年収が高くても「入社して後悔した」と感じるエンジニアは少なくありません。
その多くが、給与以外の条件を見落としたことに原因があります。
ここでは、実際に私が経験・相談を受けた中で「消耗しやすい職場」の特徴を紹介します。
納期最優先で長時間労働が常態化している
開発スケジュールを現実的に組めず、常に火消し状態でプロジェクトが回っている企業は要注意です。
上司の口癖が「気合いで何とかしよう」になっている職場は、エンジニアが疲弊しやすい典型例です。
⚠️ 見抜きポイント
- 面接で「残業時間」を具体的に聞く
- 「定時退社できる日はありますか?」と尋ねる
- 評価基準が“成果”より“稼働時間”になっていないかを確認
管理層が現場を見ていない
マネージャーやリーダーが顧客対応に追われ、現場の声が届かない構造になっている会社も要注意です。
「現場任せ」「指示が曖昧」「方針がコロコロ変わる」といった環境では、エンジニアが孤立して疲弊します。
💬 よくある事例
- 課題を報告しても「それは自分で解決して」と放置
- チームレビューが形骸化しており、改善が進まない
現場の意見を吸い上げる仕組みがあるかどうかは、会社文化の健全性を測るバロメータです。
属人化が進み、休みにくい雰囲気がある
「この人しかわからないコード」「この人がいないと進まない」状態の会社は、長期的にリスクが高いです。
属人化が進むと、休暇も取りづらく、体調を崩しても現場が回らない負の連鎖が起きます。
💡 チェック方法
- ソース管理やドキュメント整備が行われているか
- 1人にタスクが集中していないか
- 面接で「チーム体制」や「引き継ぎフロー」を確認
スキルアップの仕組みがない
「高収入でも成長できない会社」は、長期的にキャリアリスクが高いです。
勉強会・コードレビュー・社内LTなどの文化がないと、5年後に市場価値が下がります。
🚫 よくあるパターン
- 古いフレームワークを使い続けている
- “今の案件が終わるまで”と技術改善が後回し
- 「個人の努力に任せる」風潮がある
短期的には稼げても、将来的にスキルが陳腐化すれば転職市場で苦戦します。
「学べる環境かどうか」を必ず確認しましょう。
「成果主義で疲弊しないための働き方の工夫はこちらの記事でも紹介しています。」
👉 成果主義で疲弊しないために|心がすり減った時の回復法と働き方の見直し方
“年収+働きやすさ”で選ぶポイント
では、反対に「高収入でも無理なく働ける職場」はどんな特徴があるのでしょうか?
ここからは、転職先を見極めるうえで重要な“3つの判断軸”を紹介します。
仕事の裁量とサポート体制のバランス
優良企業は、エンジニアに一定の裁量を与えつつ、孤立させないサポート体制を整えています。
裁量がありすぎるとプレッシャー過多、逆に制限が多いとモチベーションが下がります。
✅ こんな環境が理想
- コードレビュー・設計レビューが定期的にある
- ペアプロや1on1でフォロー体制がある
- チームで成果を出す文化がある
技術スタックとキャリア成長の相性を見極める
転職時に見落としがちなのが、自分のキャリアと技術スタックの相性です。
たとえば、今後クラウド・AI分野に進みたいのに、オンプレ・レガシー環境ばかりの案件では成長が止まります。
💬 チェックポイント
- 開発言語・フレームワーク・クラウド構成
- 技術選定の裁量がエンジニア側にあるか
- 新技術導入への積極性
面接では「最近導入した技術」や「社内の勉強会テーマ」を聞くと、会社の成長志向が見えます。
チーム文化と人間関係の健全さ
どんなに技術が好きでも、人間関係が悪ければ続きません。
“働きやすさ”は、人の相性と心理的安全性で大きく変わります。
🧠 面接で見極める質問例
- 「チームで意見が分かれたとき、どう解決しますか?」
- 「上司との1on1やフィードバック制度はありますか?」
実際にオフィス訪問やオンライン面談で、社員の表情や空気感を観察するのも有効です。
良い会社ほど、社員が明るく、自分の言葉で話すものです。
ジョブ型時代では、“何ができるか”が働きやすさにも直結します。詳しくはこちら。
👉 ジョブ型雇用が広がる時代にエンジニアが取るべきキャリア戦略とは?
後悔しない転職を実現するための行動
転職で後悔する人と成功する人の違いは、**「準備の質」**にあります。
ここでは、あなたが“年収以外の軸”を明確にし、納得の転職を実現するためのステップを紹介します。
自分のキャリア軸を言語化する
まずは、「自分がどう働きたいのか」を明確にすること。
たとえば次のような問いから整理してみてください:
| 質問 | 例 |
|---|---|
| どんな働き方をしたい? | リモート中心・チーム開発・新技術を学びたい |
| 何を大事にしたい? | ワークライフバランス・安定・裁量 |
| 5年後どうなっていたい? | マネジメント・クラウド専門・副業もできる |
これを明確にしておくと、「求人を選ぶ軸」がブレません。
面接で“働き方のリアル”を確認する
面接は、企業があなたを選ぶ場であると同時に、あなたが企業を選ぶ場でもあります。
次のような質問で、実際の環境を見抜きましょう。
💬 質問例
- 「残業は平均どのくらいですか?」
- 「1案件あたりのチーム人数は?」
- 「技術選定の裁量は誰にありますか?」
回答に詰まる、または曖昧な場合は、職場環境に不透明さがあるサインです。
エージェントを活用して“内部情報”を得る
転職エージェントを上手に使うと、企業の内部事情やリアルな労働環境を知ることができます。
特に、IT専門エージェントは現場エンジニアからの口コミや離職率の情報を持っています。
✅ おすすめ活用法
- 3〜4社に登録し、情報の差を比較
- “面談時の印象”や“担当者の知識量”も判断材料にする
- 内定後の条件交渉も任せると、年収面の不安が減る
エージェントを活用して“キャリア軸に合った求人”を見極める方法も参考になります。
👉 【2025年最新】ITエンジニア経験者が選ぶ!年収アップ・キャリアアップに強い転職エージェント5選
まとめ|「年収」は結果、「働き方」は選択
エンジニア転職で最も重要なのは、“お金以外の軸”を持つことです。
年収は大切ですが、それ以上に「どんな環境で、どんな人と働くか」がキャリアの質を決めます。
💬 覚えておきたい言葉
「高収入=幸福」ではなく、
「成長と働きやすさが両立してこそ、本当の成功」 です。
転職活動を通じて、
「自分が大切にしたいもの」を言語化し、
「無理なく続けられる職場」を見つけましょう。
“自分の市場価値”を高めながら働き方を選ぶキャリア戦略はこちらの記事も参考にどうぞ。
👉 エンジニアの市場価値を上げる方法|5年目以降で差がつくスキルと働き方


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