「ポートフォリオって必要ですか?」
未経験からエンジニアを目指す方の中には、そんな疑問を持つ人も多いはず。
結論から言えば、ポートフォリオは“未経験者の最大の武器”です。
なぜなら、実務経験がなくても「どんなスキルを持っていて、何を作れるのか」を具体的にアピールできるからです。
この記事では、
- ポートフォリオの役割
- 何を作ればよいのか
- どう作り、どうアピールするか
といったポイントを、初心者でもわかりやすくステップ形式で解説します。
これから転職活動を始める方、ポートフォリオ制作で手が止まっている方は、ぜひ参考にしてください。
未経験からの転職ステップを詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみて下さい。
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なぜ未経験でもポートフォリオが重要なのか?
採用担当は「学習意欲」と「実践力」を見ている
未経験者の採用において、企業が最も重視するのは「この人は伸びそうか」「現場で育てていけそうか」といったポテンシャルです。
そのポテンシャルを判断する材料として、学習意欲と実践力が注目されます。
特にエンジニア職は、技術の進化が早いため「学び続けられる人材」であることが大前提。そのため、ポートフォリオは以下のような評価ポイントにつながります:
- 📘 学習意欲:自発的に技術を学び、アプリやシステムを作ろうとした姿勢
- 🛠 実践力:学んだ知識を使って「形にした」経験(=アウトプット)
つまり、完成度の高さよりも「自分で考えて作りきった経験」が重要です。
たとえ小さなアプリでも、自分の言葉で「なぜそれを作ったのか」「どう実装したのか」を語れれば、十分なアピールになります。
ポートフォリオは、単なる作品ではなく「行動力の証明」。
書類選考や面接で、あなたの学びの軌跡を見せられる最強の武器になります。
未経験者は「成果物」でしか実力を伝えられない
実務経験のない未経験者にとって、「自分にはスキルがあります」と口で説明するだけでは説得力に欠けてしまいます。
企業の採用担当者が本当に知りたいのは、「この人は現場でやっていけるか?」という具体的な判断材料です。
そのとき役立つのが、ポートフォリオという“成果物”です。
ポートフォリオがあれば、
- 実際にどんな技術を使えるのか
- どんな考え方でアプリを作ったのか
- コードの書き方や設計の意図
など、口頭では伝えにくいスキルや思考力を、具体的に“見せる”ことができます。
たとえ小さなアプリでも、実際に動くものがあり、GitHubやURLで共有できる状態であれば、「実務に近いことを自分でやってきた」という評価につながります。
職務経歴がないからこそ、成果物を通して「自分の価値」を証明することが重要です。
ポートフォリオは、あなたの実力を可視化する唯一の武器だと考えて、ぜひ力を入れて準備しましょう。
実力を伝える職務経歴書の書き方はこちらを参考にしてみて下さい。
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書類選考・面接の突破率が変わる
ポートフォリオの有無は、書類選考や面接の通過率に大きく影響します。
未経験者の場合、職務経歴書だけではスキルの裏付けができず、「どこまで理解しているのか」「本当に自分で開発できるのか」が伝わりにくくなりがちです。
しかし、ポートフォリオがあることで、採用担当者は次のような安心感を持つことができます:
- ✅ 自分でアプリを作る力がある
- ✅ 技術を学ぶだけでなく、形にできる
- ✅ 課題を乗り越えた経験がある(=実務への適応力がある)
また、面接の場でも「このアプリはどう作ったの?」「工夫した点は?」といった具体的な質問に発展しやすくなり、会話の土台ができるというメリットもあります。
逆にポートフォリオがない場合、「なぜ出してこなかったのか?」と不安材料になることすらあります。
特にライバルも未経験者である場合、ポートフォリオがあるだけで一歩リードできることは間違いありません。
「ポートフォリオがある人=準備ができている人」として、企業からの信頼度も高まるのです。
ポートフォリオに載せるべき内容とは?
アプリの概要(何を作ったか)
ポートフォリオにおいて最初に伝えるべきなのが、「どんなアプリを作ったのか」という全体の概要です。
採用担当者は、まず作品の“目的”や“使い方”が直感的に理解できるかどうかを見ています。
以下のようなポイントを簡潔に整理して書くと、アプリのイメージが伝わりやすくなります:
- 📝 アプリの名前(あれば)
- 🎯 目的・コンセプト(誰のために、何を解決するアプリなのか)
- 📱 主な機能(例:ユーザー登録・ログイン/投稿・編集・削除/検索/外部API連携 など)
- 🌐 使用環境(Webアプリ/スマホ対応/ローカルで動くかなど)
🔍 例)
- アプリ名:MyTask
- 概要:シンプルなタスク管理アプリです。日々のTODOを登録・完了・削除でき、カテゴリごとの管理も可能です。
- 使用技術:HTML / CSS / JavaScript(Vue.js) / Firebase(認証・DB)
- 主な機能:ユーザー登録、ログイン、タスクのCRUD操作、フィルター機能、レスポンシブ対応
ポイントは、専門用語を並べすぎず、誰が見ても何を作ったのかがわかる説明にすること。
採用担当者の中には非エンジニアの方もいるため、「誰にでも伝わる説明」を意識することが評価につながります。
使用技術・学習背景(なぜその技術を選んだか)
ポートフォリオでは、「どの技術を使って開発したか」だけでなく、なぜその技術を選んだのかという背景まで説明できると、評価が大きく高まります。
単に「Reactを使いました」「MySQLを使いました」と書くだけではなく、
- ✅ なぜその言語やフレームワークを選んだのか
- ✅ 学習の過程や背景(スクール/独学/チュートリアル)
- ✅ 自分で調べて導入・構成した点はあるか
- ✅ その技術でどんな工夫や苦労をしたか
といった内容まで含めると、採用担当者はあなたの思考力や学習姿勢を具体的にイメージできます。
🔍 例文
フロントエンドにはReactを使用しました。学習初期にVue.jsも試しましたが、求人市場でのニーズやコンポーネント設計の自由度を考慮してReactに絞って学習を進めました。
バックエンドにはNode.jsとExpressを使用し、非同期処理やAPI設計を学びながら構築しました。データベースにはMongoDBを選び、NoSQLの扱い方を理解するために公式チュートリアルを元に構成を調整しました。
「なぜその技術を選んだのか」は、ただの知識ではなく“戦略的な選択”ができる人かどうかを判断するポイントでもあります。
特に未経験者は、学習背景や選定理由を丁寧に伝えることで、実務経験の差を埋めることができます。
自分なりの理由があれば、ぜひポートフォリオに盛り込みましょう。
工夫したポイント・改善点
ポートフォリオで強くアピールできるのが、自分なりに工夫した点や、改善に取り組んだエピソードです。
単に「動くアプリを作った」だけで終わらせず、より良くするために考えたこと・手を加えたことを伝えることで、現場で活躍できる素養があると評価されやすくなります。
企業の現場でも、完璧な要件書通りに作るよりも「より使いやすくするには?」「改善の余地は?」と考える姿勢が求められます。
ポートフォリオでは、その視点を見せるチャンスです。
✍️ 書き方のポイント:
- ✅ ユーザー目線での改善(UI・UXの調整など)
- ✅ コードのリファクタリング(より見やすく・再利用しやすく)
- ✅ エラー処理やバリデーションの強化
- ✅ 新しい機能の追加や設計の見直し
- ✅ レスポンシブ対応やアクセシビリティへの配慮
🔍 例文
最初はログイン処理後に画面遷移するだけの簡単な構成でしたが、ユーザーの誤操作を防ぐため、ログイン後のトップ画面に通知メッセージを表示するように改修しました。
また、初期はタスクの一覧表示が冗長なコードだったため、リストコンポーネントを作成して再利用可能な形にリファクタリングしました。
小さな工夫でも、しっかり理由を説明できれば強いアピールになります。
「最初はこうだったが、こう改善した」というプロセスを示すことで、伸びしろや主体性を伝えることができます。
実務未経験でも「現場で考えて動ける人材」と印象づけられる重要なポイントです。
GitHubやデプロイ先URLの提示
ポートフォリオで忘れてはならないのが、GitHubリポジトリやアプリのデプロイ先URLを明記することです。
これがなければ、採用担当者はアプリの中身を確認することができません。
書類選考や面接で興味を持ってもらえたとしても、
- 「どんなコードを書いているか見られない」
- 「アプリの動作を確認できない」
という状態では、評価に結びつきません。
✅ 必ず記載しておきたい項目
- GitHub リポジトリURL(READMEに解説を含める)
- デプロイ済みアプリのURL(Heroku、Render、Vercel、Netlifyなど)
- ログイン機能がある場合のテストユーザー情報(ID・PW)
🔍 例文
- GitHub:https://github.com/username/my-task-app
- 公開URL:https://my-task-app.vercel.app
- テストユーザー:test@example.com / password123
特にGitHubは、単にコードを置いているだけでなく、
- コミット履歴の頻度・粒度
- READMEの整備状況
- ディレクトリ構成・コードの可読性
といった点も見られています。「どう開発してきたかの履歴」も評価対象になるため、意識して整理しておきましょう。
「見てもらえる準備をしているかどうか」は、それ自体が評価ポイントになります。
採用担当者が迷わず確認できるよう、URLは職務経歴書やポートフォリオ一覧ページにも必ず明記しておきましょう。
未経験者におすすめのポートフォリオ例
自作Webアプリ(CRUD機能つきToDoアプリ、日記アプリなど)
未経験者が最初に作るポートフォリオとしておすすめなのが、自作のWebアプリです。
中でも、ToDoアプリや日記アプリといったシンプルなアプリは、基本的なWeb開発のスキルを一通りアピールできるため、非常に効果的です。
これらのアプリには、Web開発で頻出する「CRUD機能(Create, Read, Update, Delete)」が含まれており、以下のようなスキルを自然に盛り込むことができます:
- ✅ フォームによるデータの入力・送信(Create)
- ✅ 一覧表示や詳細ページの実装(Read)
- ✅ 編集画面と更新処理(Update)
- ✅ 削除処理と確認ダイアログの実装(Delete)
- ✅ 認証機能(ログイン/ログアウト)を追加すればスキルの幅がさらに広がる
🔍 例題としてのアプリ案
- ToDo管理アプリ:期限付きのタスク管理、カテゴリー分類、進捗ステータスの切り替えなど
- 日記アプリ:日付付き投稿、検索・並び替え、画像アップロードなど
- 簡易ブログ:ユーザーごとの投稿管理、いいね機能、コメント機能など
大切なのは、「誰のために・どんな課題を解決するアプリか」を明確にすることです。
たとえ基本的な構成でも、「使いやすさ」や「見た目の工夫」「改善の履歴」などを盛り込むことで、あなたの考える力や成長の跡をアピールできます。
「最初の1作目」としては、このようなCRUD中心の自作アプリがポートフォリオに最適です。
API連携アプリ(天気・地図・レシピなど)
ポートフォリオに一歩踏み込んだ要素を加えたいなら、外部APIとの連携機能を含んだアプリがおすすめです。
API(Application Programming Interface)を使うことで、リアルタイムなデータ取得や外部サービスとの連携ができ、より実務に近い開発経験がアピールできます。
🔍 API連携の定番テーマ例
- 天気アプリ:都市名を入力して天気情報を取得(OpenWeatherMap APIなど)
- 地図検索アプリ:地図上にピンを表示して店舗情報や観光地を表示(Google Maps APIなど)
- レシピ検索アプリ:キーワードから料理レシピを検索・表示(Rakuten Recipe API、Edamam APIなど)
- 為替・株価表示アプリ:リアルタイムデータを取得して可視化(Currency API、Yahoo Finance APIなど)
API連携が評価される理由
- ✅ 非同期通信(Ajax / Fetch)の理解を示せる
- ✅ JSONデータの扱いやエラーハンドリングが必要になる
- ✅ 実際のサービスに近い開発フローが体験できる
- ✅ UI・UXの工夫の幅が広がる(例:検索・絞り込み・表示形式の工夫)
APIを扱うにはドキュメントの読解やデータ形式の理解が必要なため、採用担当者からは「自分で調べて実装できる力がある」と高く評価されます。
また、ユーザーが使っていて楽しい・便利と感じるアプリが多いため、プレゼン映えもするのが大きなメリットです。
スクール課題のアレンジ例
プログラミングスクールを受講している場合、課題で制作したアプリをそのままポートフォリオに使う人も多いですが、「そのまま提出」では他の受講生と差がつきません。
採用担当者も、スクール卒業生の作品にはよく目を通しているため、「見覚えのあるアプリだな」と思われてしまうことも。
そこで重要になるのが、スクール課題をベースにした“アレンジ”です。
ほんの少し手を加えるだけでも、「自分の頭で考えて開発に取り組んだ人」という印象につながります。
🔧 アレンジの具体例
- 🔁 機能追加:検索機能やお気に入り登録、カテゴリ絞り込み、通知機能など
- 🎨 UIの改善:デザインを自分で調整(色、レイアウト、レスポンシブ対応)
- 🌐 API連携をプラス:外部APIを組み込んで情報を拡張(例:住所→地図表示)
- 🛡 セキュリティ強化:入力バリデーションやログイン制限、CSRF対策など
- 🔄 別の技術に置き換え:Reactで作り直す、Node.jsバックエンドに切り替える など
🔍 例)
「書籍レビューアプリ」という課題に対し、レビューに画像投稿機能と検索機能を追加。
UIはBootstrapからTailwind CSSに変更し、デザインの自由度を高めた。
最終的にはFirebaseにデプロイし、友人にも使ってもらった上でフィードバックを反映。
こうしたアレンジを加えることで、課題ベースのアプリでも“自分だけの作品”に進化させることができます。
努力の跡が見える作品は、採用担当者にも必ず響きます。
課題制作支援があるスクールはこちらを参考にしてみて下さい。
👉 未経験からエンジニア転職!就職支援が充実しているおすすめプログラミングスクール5選【2025年版】
チーム開発経験があれば必ず記載
もしチームで開発した経験があるなら、それはポートフォリオにおける非常に強力なアピールポイントになります。
企業側は、スキルだけでなく「チームで働けるかどうか」「他人と協力できるかどうか」といった協調性や実務的な適応力も重視するためです。
✅ チーム開発経験が評価される理由
- 👥 実務と同じように役割分担や連携を経験している
- 📄 Gitやタスク管理ツールを共同で使った経験がある
- 🗣 コミュニケーションやレビュー対応などチーム内のやり取りに慣れている
🔍 記載すべきポイント
- プロジェクトの概要(何を作ったか、チーム人数)
- 自分の担当範囲(フロントエンド/バックエンド/設計/進捗管理など)
- 使用した技術・ツール(GitHub、Slack、Notion、Figmaなど)
- チーム内で工夫したことや課題をどう乗り越えたか
例文:
3人チームでタスク管理アプリを開発。私はフロントエンドのUI実装とタスクの編集・削除機能を担当しました。GitHubを使ってプルリクエストベースで開発し、週1回の進捗ミーティングではレビューと改善案の提案も行いました。
実務未経験であっても、「チームで開発できる」ことは大きな強みです。
特にスクールのチーム開発課題や自主的なグループ制作の経験がある場合は、積極的にポートフォリオに記載しましょう。
ポートフォリオ作成のステップ
① アイデアを出す(誰のために何を作る?)
ポートフォリオ制作の第一歩は、「どんなアプリを作るか」を決めることです。
このとき大切なのは、“誰のどんな課題を解決するのか”という視点でアイデアを考えることです。
ただ機能を詰め込むだけのアプリではなく、「使う人のことを考えて作られているか」が採用担当に伝わると、評価が一段と高まります。
✅ アイデア出しのポイント
- 身近な不便・困りごとをテーマにする
例:毎日飲んだお酒を記録したい→お酒日記アプリ - 自分自身の経験や趣味から発想する
例:筋トレ記録、ランニング記録、読書メモ、旅行記録など - 特定のユーザーを想定する
例:子育て中のママ向けの時短レシピ検索アプリ - 既存サービスの「ここが不便」を解消する
例:タスク管理アプリに習慣化チェック機能を追加
🔍 例:
「紙の日記だと見返すのが面倒」という課題から、
写真付きで毎日1行だけ記録できる“シンプル日記アプリ”を企画。
カレンダー表示で日記を振り返りやすくし、モチベーションを維持できる構成に。
採用担当は、「この人はユーザー視点でアプリを作れるか?」を見ています。
そのため、「なぜこのアプリを作ろうと思ったのか」「どんな課題を解決したかったのか」を言語化しておくことが大切です。
ポートフォリオは、技術力だけでなく発想力や課題発見力も見せられる貴重な場です。
まずは“誰かのために作る”という視点で、アイデアを膨らませましょう。
② 設計・技術選定(構成図・使用技術の明記)
アイデアが決まったら、次はアプリ全体の設計と、使う技術の選定を行いましょう。
このステップを丁寧に行うことで、開発の見通しが立ちやすくなり、完成度の高いポートフォリオにつながります。
また、設計や技術選定の根拠をREADMEや面接で説明できると、論理的に物事を考えられるエンジニアとして評価されやすくなります。
✅ 設計時に考えるポイント
- フロントエンドとバックエンドの役割分担
例:画面の表示はReact、データ処理はNode.js - データベースの構成
例:ユーザー/投稿/コメントなどのテーブル設計(ER図の作成) - 画面遷移のイメージ
例:ログイン → ホーム → 投稿作成 → 詳細 → 編集 など - 外部サービスの利用有無
例:Firebase、SendGrid、Stripe、外部APIなど - 構成図(アーキテクチャ図)
システム全体の流れを図で示すと理解されやすい
✅ 技術選定で記載すべき項目
- 使用言語(例:JavaScript、Python など)
- フレームワーク(例:React、Vue.js、Express など)
- データベース(例:MySQL、MongoDB、Firestore など)
- インフラ/デプロイ環境(例:Vercel、Heroku、Firebase、Render など)
- バージョン管理(例:Git、GitHub)
🔍 例:
フロントエンドはReact、バックエンドはExpress(Node.js)を採用。
データベースはMongoDBを使用し、Mongooseでモデルを設計。
ログイン機能にはFirebase Authenticationを活用し、デプロイはVercelとRenderを使用。
システム構成図とER図はREADMEに掲載。
設計・技術選定の過程をきちんと記録・説明できれば、「完成させただけでなく、考えて作ったこと」が伝わります。
これは、未経験者の中でも一歩抜きん出る大きなポイントです。
③ 開発(Gitで履歴管理しながら進める)
設計と技術選定が終わったら、いよいよ開発フェーズです。
この段階では、ただ機能を実装するだけでなく、「Gitを使って開発履歴を管理すること」が非常に重要です。
実務ではバージョン管理ツール(Git)が必須であり、Gitの基本操作を理解していることは、未経験者であっても当然の前提として見られます。
✅ Gitでやるべき基本操作
- ローカルリポジトリの作成/初期化(
git init
) - こまめなコミットとメッセージの記録(何をしたかが分かるように)
- ブランチの活用(機能ごとに作業ブランチを分ける)
- GitHubとの連携/Push/Pullの運用
- READMEやissueの活用(プロジェクト管理としても評価される)
🔍 例:
開発中は「ログイン機能」「デザイン調整」などのブランチを切り、それぞれで作業を進めました。
GitHubのコミット履歴では、1日ごとの進捗や、機能ごとの実装過程を確認できるように整理しています。
Gitの履歴を残しておくことで、以下のようなアピールにつながります:
- 📈 開発プロセスを可視化できる(成長の過程が伝わる)
- 🛠 コード修正や機能追加の意図を説明しやすくなる
- 👥 チーム開発の前提となるバージョン管理の基本が身についている
採用担当は、「ただ動くアプリ」ではなく、「実務的な開発フローに近いかどうか」も見ています。
その意味でも、Gitを使って履歴を管理しながら開発を進めることは、未経験者にとっても非常に大きな評価ポイントです。
④ READMEの作成・公開(魅せ方も重要)
ポートフォリオを公開する際、READMEの内容は“アプリの第一印象”を決める重要なポイントです。
GitHubリポジトリを開いたときに最初に目に入るREADMEには、作品の概要・工夫・使い方が簡潔にまとまっていることが求められます。
いくら良いアプリを作っていても、READMEが空っぽだったり雑だったりすると、
「完成度が低そう」「実務を意識していない」と判断されてしまうこともあります。
✅ READMEに記載すべき基本項目
- アプリ名・概要(何をするアプリか、誰のためか)
- 使用技術(フロントエンド・バックエンド・DBなど)
- 主な機能一覧(簡潔なリスト形式がベスト)
- 画面キャプチャ or GIF動画(操作イメージが伝わる)
- 使い方/導入手順(ログイン情報や操作手順も)
- こだわったポイント/工夫した点
- 今後追加したい機能(任意)
🔍 例:
markdownコピーする編集する## アプリ名:Simple Diary
毎日1行だけ日記を記録できるWebアプリ。シンプルなUIで日記習慣を続けやすく設計しました。
### 使用技術
- フロントエンド:React
- バックエンド:Express / Node.js
- データベース:MongoDB
### 主な機能
- 新規登録・ログイン
- 日記の作成・編集・削除
- カレンダー表示・日付検索
- レスポンシブ対応
### テストユーザー
- Email:test@example.com
- Password:password123
READMEの内容が充実していれば、作品の魅力がより正確に伝わり、GitHub上でも印象が格段にアップします。
また、READMEを整備すること自体が「ドキュメントを書く力」や「他人に説明する力」の証明にもなります。
ポートフォリオは「作品」としての完成度だけでなく、「どう伝えるか」も含めて評価されます。
READMEは“アプリの顔”だと考えて、しっかり作り込みましょう。
よくある失敗と対策
見た目にこだわりすぎて中身がない
ポートフォリオ制作でありがちな失敗のひとつが、デザインばかりに時間をかけすぎて、肝心の機能が不十分な状態で終わってしまうことです。
もちろん、見た目(UI・デザイン)は大切です。
ただし、未経験者にとってもっと大事なのは、「アプリとしての基本機能がしっかり動くか」「コードが整理されているか」といった中身の部分です。
❌ ありがちなNG例
- オシャレなトップページはあるけどログインが動かない
- 動画や画像ばかりで、機能の説明がない
- コードがスパゲッティ状態でリファクタリングされていない
- 表面的なフレームワークの使用にとどまり、処理の理解が浅い
採用担当者は見た目よりも、以下のような「実務に通じる力」を見ています:
- データの処理や流れを理解して実装しているか
- 保守しやすいコード構造になっているか
- ロジックを自分なりに組み立てているか
- 機能や目的がREADMEなどで明確に説明されているか
まずは「シンプルでもきちんと動くもの」を作ることを優先し、
そのうえで余力があればUIやデザインを整えていく、という順番を意識しましょう。
「見せかけだけで動かないアプリ」よりも、「地味だけど使えるアプリ」の方が確実に評価されます。
本質を見失わず、技術的な中身にもしっかり力を入れることが大切です。
逆に中身重視で使いにくい設計になっている
「見た目より中身が大事」と意識するあまり、機能は充実しているのにユーザー目線が欠けた“使いにくいアプリ”になってしまうケースも少なくありません。
たとえば、
- ボタンや入力欄の位置が分かりにくい
- 操作の流れが直感的でない
- エラー表示がなく、どこで失敗したか分からない
- モバイルで表示が崩れる
など、技術的には正しく動いていても、「使う人のことが考えられていない」と感じられるUI・UXになっていると、評価は伸び悩みます。
✅ 採用担当が重視するポイント
- 誰が使うかを想定した画面構成になっているか
- ユーザーの操作に対して丁寧なレスポンスがあるか(例:エラーメッセージ、完了通知)
- 初めて見る人でも迷わず使える導線があるか
- モバイル対応・アクセシビリティへの配慮がされているか
🔍 改善のためのヒント
- 自分以外の人に触ってもらい、フィードバックをもらう
- ボタンやナビゲーションの配置を「一般的なUI」に寄せる
- 「ログインしてから○○する」など、操作フローを画面上で案内する
- BootstrapやTailwindなどのUIフレームワークを活用して見やすさを整える
アプリは「動けばいい」だけではなく、「使われてこそ価値がある」ものです。
採用担当者も、「この人はユーザー体験も意識できる」という点を高く評価します。
機能だけで満足せず、最後は“使いやすさ”の視点で見直すこと。
それが、ポートフォリオを“作品”として完成させるための大事な一歩です。
READMEやGitHubが未整理
ポートフォリオとしてアプリを公開していても、READMEが空っぽ、GitHubのリポジトリがぐちゃぐちゃな状態では、せっかくの作品も魅力が半減してしまいます。
採用担当者がまず見るのは、コードそのものよりもREADMEとリポジトリの構成です。
ここが整理されていないと、以下のようなマイナス印象につながることがあります:
- ❌ 「開発途中なのかな?」「完成していないのでは?」
- ❌ 「この人にチーム開発を任せるのは不安」
- ❌ 「自己管理能力やドキュメント力が不十分」
✅ チェックしておきたい整理ポイント
- READMEにアプリの概要・使用技術・使い方・画面キャプチャが書かれているか
- 不要なファイルやコメントがコミットされていないか
- コミットメッセージが意味のある内容になっているか(例:
fix: バグ修正
) - ディレクトリ構成が分かりやすく、役割ごとに整理されているか
.env
やnode_modules
など、公開すべきでないファイルが含まれていないか
🔍 例:悪い例と良い例
項目 | 悪い例 | 良い例 |
---|---|---|
README | 「This is my app.」だけ | 概要・技術・使い方・工夫点が明記されている |
コミット | update , test , aaaa | feat: ログイン機能追加 , fix: 入力バグ修正 |
ファイル構成 | ルートにファイルが散乱 | components/ , pages/ , utils/ に整理済み |
GitHubは「コードを置く場所」ではなく、開発プロセスや情報を見せる“ポートフォリオの一部”です。
特に未経験者の場合は、コードのクオリティよりも「どれだけ丁寧に管理されているか」が評価につながりやすい傾向があります。
整理されたGitHubリポジトリは、それだけで信頼感のあるポートフォリオになります。
公開前に必ず見直し、採用担当が安心して中身を見られる状態に整えておきましょう。
URLが公開されていない、ログイン情報がない
ポートフォリオでよくあるミスのひとつが、アプリのURLが非公開になっている、あるいはログインしないと使えないのにログイン情報が記載されていないという状態です。
せっかく良いアプリを作っていても、採用担当者が確認できなければ意味がありません。
また、わざわざ問い合わせないと見られないような作品は、それだけでマイナス評価になってしまうこともあります。
✅ 忘れずに記載しておくべき情報
- 公開URL(デプロイ先)
例:Vercel、Render、Netlify、FirebaseなどのURL - GitHubリポジトリのURL
ソースコードの確認用として必須 - ログインが必要な場合のテスト用アカウント情報
例:メールアドレス、パスワード - ログイン後にできる操作の説明(簡単でOK)
🔍 例:
markdownコピーする編集する## 公開URL

Vite + React
## GitHub

Build software better, togetherGitHub is where people build software. More than 150 million people use GitHub to discover, fork, and contribute to over...
## テストアカウント
Email: test@example.com
Password: password123
⚠️ 注意点
- 管理者画面や特定の機能に制限をかけている場合は、その旨も明記しましょう
- 外部APIキーなど公開してはいけない情報は.envで管理し、GitHubにアップしないよう注意が必要です
ポートフォリオは「誰でもすぐに見られる・試せる」状態にしておくことが重要です。
URLやログイン情報がきちんと用意されているだけで、採用担当者の負担を減らし、評価アップにもつながります。
ポートフォリオをアピールする際のポイント
職務経歴書や面接での伝え方
ポートフォリオは作って終わりではありません。
職務経歴書や面接でどう伝えるかによって、評価が大きく変わります。
採用担当者は、「どんなアプリを作ったのか?」だけでなく、「そのアプリを通じて何を学び、どんな力が身についたか」を知りたいと考えています。
✅ 職務経歴書でのアピール方法
- 作品のタイトルと概要(1〜2行で簡潔に)
- 使用技術と担当領域(バックエンド/フロントエンド/設計など)
- 工夫したポイントや困難をどう乗り越えたか
- GitHubやデモURLの記載(実物が見られると評価アップ)
📄 例文(職務経歴書)
【ポートフォリオ制作】
● アプリ名:シンプル家計簿
● 使用技術:HTML / CSS / JavaScript / Firebase
● 概要:日々の収支を簡単に記録・集計できるWebアプリ
● 工夫点:収支の自動グラフ表示とレスポンシブ対応を実装。UXを意識したレイアウト調整を行った
● GitHub:https://github.com/〇〇
● 公開URL:https://〇〇.vercel.app
✅ 面接での伝え方のポイント
- なぜそのアプリを作ったのか(動機)
- どんな点に苦労し、どう解決したか(成長の証)
- 今後、何を改善したいと思っているか(学ぶ姿勢)
🗣 面接での伝え方例:
最初はデータの集計処理がうまくできず、Firestoreの構造を見直してパフォーマンス改善をしました。
単に動かすだけでなく、読みやすいコードにすることも意識して、途中でリファクタリングにも取り組みました。
ポートフォリオの目的は「作品を見せること」ではなく、「自分の能力を伝えること」です。
職務経歴書と面接での伝え方を工夫すれば、作品の価値が何倍にもなります。
面接での伝え方についてはこちらを参考にしてみて下さい。
👉 【未経験OK】エンジニア転職の面接でよく聞かれる質問と答え方のコツ|元飲食・異業種からの転職成功例つき
ポートフォリオのURLを履歴書に記載する方法
ポートフォリオを採用担当者にしっかり見てもらうためには、履歴書や職務経歴書にURLを明記しておくことが非常に重要です。
どれだけ良いアプリを作っていても、「見つけづらい」「気づかれない」状態では、評価の対象になりません。
見やすく・わかりやすく・すぐにアクセスできる形で記載しておくことがポイントです。
✅ 記載のおすすめ場所
- 履歴書:備考欄や「自由記入欄」
- 職務経歴書:ポートフォリオ紹介セクション/最後の補足欄
- メール本文:応募時の連絡メールにも一言添えて記載しておくと親切
📄 履歴書での記載例
【ポートフォリオURL】
GitHub:https://github.com/username/portfolio-project
公開URL:https://myapp.vercel.app
※ログインが必要な場合は、以下のテストアカウントをご利用ください。
ID:test@example.com/パスワード:test1234
💡 ちょっとした工夫で印象アップ
- URLは「短縮URL」ではなく正式URLを記載(安全性の面で好まれる)
- テストアカウント情報を一緒に書くことで、スムーズに確認してもらえる
- ポートフォリオが複数ある場合は、「代表作のみを厳選」して記載
「アプリを見るのにひと手間かかる」と感じさせると、採用担当者はスキップしてしまうこともあります。
逆に、「すぐ見られて、内容も整理されている」ポートフォリオは、それだけで評価につながります。
“伝わるポートフォリオ”は、作品と同じくらい「見せ方」が大事。
履歴書や職務経歴書にURLをきちんと載せて、チャンスを逃さないようにしましょう。
エージェント相談時の活用法
転職エージェントを利用する際、ポートフォリオは自分のスキルや熱意を伝える“最強の武器”になります。
特に未経験からエンジニアを目指す場合、職務経歴や実績だけでは判断が難しいため、「実際に何を作ったか」がわかる成果物があることで、担当者のサポートも具体的になります。
✅ 活用するタイミングと方法
- 初回カウンセリング時にURLを共有する
→「実際にアプリを作ってみました」と伝えることで、担当者の印象がアップ - 職務経歴書にポートフォリオ情報を載せたうえで提出
→書類添削の質が上がる/紹介される求人の精度が高まる - 面接対策時の模擬質問で活用してもらう
→「このアプリについて質問されたらどう答える?」という想定練習に使える - 企業への推薦文に反映されるケースもある
→「この方は未経験ながら、独自にアプリ開発をしており…」という推薦がされやすい
🗣 担当者への伝え方例
独学でポートフォリオを1つ作りました。
GitHubとデモURLをまとめていますので、参考までにご覧ください。
面接でもこのアプリを軸に自己PRできるよう準備しています。
ポートフォリオがあることで、エージェント側もあなたを企業に紹介しやすくなります。
結果として書類通過率や面接の通過率が上がりやすくなるため、早期内定にもつながりやすくなります。
エージェントは「自分の可能性を広げてくれるパートナー」ですが、材料がなければ活かしきれません。
ポートフォリオは、あなた自身の“実力を証明する名刺”として、積極的に活用しましょう。
転職エージェントの活用法はこちらを参考にしてみて下さい。
👉 経験からITエンジニアへ!おすすめ転職エージェント5選【実績・サポート・求人の質で比較】
まとめ|ポートフォリオは「未経験の最大の武器」
未経験からエンジニアを目指すうえで、ポートフォリオはスキルと意欲を伝える最強のアピール手段です。
実務経験がないぶん、「どんなことを学び、何ができるのか」を採用担当者に伝えるには、“動く成果物”という形で見せることが何より効果的。
アプリの内容そのものだけでなく、「なぜそれを作ったのか」「どこに工夫したのか」「どう改善したのか」といった思考のプロセスまで含めて評価されます。
✅ ポートフォリオで伝えられること
- 学習意欲・継続力
- 技術の理解度と実装力
- 設計・改善の視点
- ユーザー目線の意識
- Gitやドキュメント管理などの実務的スキル
「すごいアプリ」よりも、「自分の力で考えて作ったアプリ」のほうが、未経験者には響きます。
小さくても、自分なりの工夫と学びが詰まった作品を1つでも持っていることが、他の候補者との差を生み出す最大のポイントです。
これからポートフォリオを作る方は、まずは“1作”を完成させてみましょう。
完璧を目指すより、「まずは出して、伝えて、改善していく」姿勢の方が、転職活動では確実に武器になります。
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