40代後半になって、働き方が変わった。
以前は残業や休日出勤が当たり前だった。炎上案件で数ヶ月泊まり込んだこともある。適応障害になって休職した時期もある。そういう経験を積み重ねた末に、「消耗しない働き方をしないと、長く続けられない」という結論に至った。
今は基本的に残業しない。プライベートの時間を先に確保して、その中で仕事を終わらせる。この働き方に変えてから、仕事の質も生活の満足度も、むしろ上がったと感じている。
なぜワークライフバランスを意識するようになったか
40代後半になるまで、ワークライフバランスという言葉をどこか「甘え」のように感じていた部分があった。
「仕事に本気で向き合うなら、残業は当たり前」「成果を出すためなら多少の無理は仕方ない」。そういう価値観が、20代から30代にかけての自分の中にはあった。
転機になったのは、適応障害による休職だった。40代後半で体が動かなくなり、3ヶ月以上仕事を休んだ。その経験が、働き方に対する考え方を根本から変えた。
無理をして消耗した先に待っていたのは、燃え尽きることだった。頑張れば頑張るほど良いという考え方が、自分の体と心を壊していた。「このままの働き方を続けることはできない」という確信が、休職中に生まれた。
長く働き続けるためには、消耗しない働き方をする必要がある。その結論に至ったのが、ワークライフバランスを本気で意識するようになったきっかけだった。
「基本残業しない」を実現するための考え方
基本残業しない働き方を実現するために、一番変えたのは発想の順番だ。
以前は「仕事が終わったらプライベートの時間」という考え方だった。今は「プライベートの時間を先に確保して、その中で仕事を終わらせる」という順番に変えた。
この発想の転換が、大きな違いを生んだ。
以前の考え方では、仕事が終わらなければプライベートの時間が削られる。残業することへの心理的なハードルが低くなる。「もう少しやってから帰ろう」という状態が常態化していた。
今の考え方では、プライベートの時間が先に確保されているから、その時間を守るために仕事を効率化しようという動機が生まれる。「定時までに終わらせるにはどうすればいいか」を考えるようになった。
プライベートの時間を守ることが、仕事の効率化につながるという逆説的な効果がある。
実際にやっていること
「基本残業しない」を実現するために、日常的に意識していることがいくつかある。
1日の最初にタスクの優先順位を整理することを習慣にした。朝、今日やるべきことをリストアップして、重要度と緊急度で並び替える。「これは今日中にやらなければならないこと」と「これは明日以降でいいこと」を明確に分ける。全部やろうとするのではなく、今日必ずやることだけに集中する。
「断る」ことを覚えた。以前は、頼まれた仕事を断ることへの抵抗があった。「やります」と言い続けた結果、抱えるタスクが増えて残業が増えるという悪循環があった。今は「今の優先度からすると、この期日では難しいです。〇〇日なら対応できます」という形で、調整をお願いするようにしている。断るのではなく、交渉するという感覚だ。
仕事の「終わり」を意識的に作るようにした。在宅勤務が増えたことで、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすくなった。「今日の仕事はここまで」という区切りを意識的に作ることで、ダラダラと仕事が続く状態を防いでいる。
完璧を求めすぎないことも意識している。以前は「もう少し良くできる」という気持ちで、必要以上に時間をかけることがあった。今は「これで十分だ」という判断を早めに下すようにしている。80点の仕事を定時で終わらせる方が、100点を目指して残業するより、長期的には良い結果につながることが多い。
ワークライフバランスを重視することへの抵抗感
「基本残業しない」という話をすると、「それで評価されるのか」「周りに迷惑をかけないか」という疑問を持つ人がいる。自分自身も、最初はそういう不安があった。
実際にやってみてわかったのは、残業しないことと評価は、必ずしも反比例しないということだ。
残業して長い時間働くことと、成果を出すことは別だ。消耗した状態で長時間働いても、判断力が落ちてミスが増える。集中して短時間で成果を出す方が、質の高い仕事ができることが多い。
また、「あの人は定時に上がる人だ」という評判より、「あの人は期日通りに成果を出す人だ」という評判の方が、長期的には信頼につながる。残業しないことへの後ろめたさより、成果を出すことへの集中に意識を向けるようにした。
もちろん、繁忙期やプロジェクトの山場では残業することもある。「絶対に残業しない」という硬直した考え方ではなく、「基本的には残業しない、でも必要なときは対応する」というバランスで考えている。
ワークライフバランスと生産性の関係
働き方を変えてから、気づいたことがある。
プライベートの時間が充実すると、仕事へのパフォーマンスが上がるということだ。
十分な睡眠が取れている日は、判断力と集中力が明らかに違う。趣味や好きなことに時間を使える日が続くと、仕事へのモチベーションが維持しやすい。逆に、残業が続いて疲弊している状態では、同じ作業をするのに倍の時間がかかることがある。
ワークライフバランスを重視することは、自分のためだけでなく、仕事のパフォーマンスを高めるためでもある。そういう視点で考えると、残業しないことへの後ろめたさが薄れた。
「頑張ること」と「消耗すること」は違う。充実した状態で集中して働くことが、本当の意味で頑張ることだと、今は思っている。
よくある疑問への回答
Q. 残業しないと周りから評価されなくなりませんか?
評価されるかどうかは、残業時間より成果で決まる。残業して長時間働くことを評価する職場であれば、その職場自体が合っていない可能性がある。成果を出しながら定時で帰ることができれば、むしろ「効率的な人」として評価されることが多い。
Q. 仕事が終わらないときはどうすればいいですか?
まず「本当に今日中にやる必要があるか」を確認する。期日の交渉ができる仕事であれば、上司に相談して調整する。それでも終わらない場合は、タスクの優先順位を見直して「今日やらなくていいこと」を翌日以降に移す。抱えすぎているなら、そもそもタスクの量の問題として上司に相談することが大切だ。
Q. ワークライフバランスを重視しながら昇進・昇給はできますか?
できる。ただし、成果を出し続けることが前提だ。残業しないから昇進できないのではなく、成果を出せないから昇進できない。残業しながら成果を出すより、定時内で成果を出す方が、評価される職場は確実に増えている。
まとめ:消耗しない働き方が、長く続けるための唯一の方法
20代から30代にかけて、残業や休日出勤が当たり前の働き方をしてきた。その結果として、適応障害による休職を経験した。
その経験が、「消耗しない働き方をしないと、長く続けられない」という結論につながった。
今は基本的に残業しない。プライベートの時間を先に確保して、その中で仕事を終わらせる。この働き方に変えてから、仕事の質も生活の満足度も上がったと感じている。
長く働き続けるために、消耗しない働き方を選ぶことは、妥協ではなく戦略だと思っている。

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