SESで働くメリット・デメリット|6年働いて感じた「やめとけ」の真相

転職と市場価値の上げ方

SESで6年以上働いた。

転職した今だから、冷静に振り返れる。SESという働き方は、良い面も悪い面も、どちらも本物だった。「SESはやめておけ」という声もあれば、「SESで良かった」という声もある。どちらも間違っていないと思う。ただ、何を求めるかによって、評価がまったく変わる働き方だということだ。

この記事では、6年以上SESで働いた実体験をもとに、SESのメリット・デメリットと「SESはやめとけ」と言われる理由の真相を、正直に書く。


そもそもSESとは|働き方の仕組み

メリット・デメリットの前に、SESの仕組みを整理しておく。

SES(システムエンジニアリングサービス)は、エンジニアをクライアント企業に常駐させて、その労働力(技術力)を提供する契約形態だ。エンジニアは自社ではなくクライアントの職場(客先)で働く。

報酬は、クライアントが支払う「単価」から、所属するSES企業の「マージン(取り分)」を引いた額が、エンジニアの給与のベースになる。この構造が、後述する「年収が上がりにくい」という課題につながる。

未経験からエンジニアになる場合、最初の就職先としてSESを選ぶ人が多い。間口が広く、実務経験を積みやすいからだ。自分も未経験からSESでキャリアをスタートした。


SESで働くメリット

6年以上SESで働いて感じたメリットを整理する。

①様々な現場・業界を経験できる

一番良かったのは、様々な現場・業界を経験できたことだ。

SESの特性上、案件が変わるたびに職場が変わる。業種も、規模も、使う技術も違う。最初はその変化がストレスだった。慣れた頃に現場が終わる。また一から人間関係を作り直す。それを繰り返す。

ただ、気づけばそれが武器になっていた。金融系のシステム、製造業の基幹システム、Webサービスの開発。まったく違う環境を経験したことで、「どんな現場でもなんとかなる」という適応力が身についた。

②未経験から実務経験を積みやすい

SESは未経験歓迎の求人が多い。間口が広いため、未経験からエンジニアになる最初の一歩として入りやすい。実務経験を積めば、その後のキャリアの選択肢が広がる。

③転職市場で「経験の幅」が評価される

転職活動のとき、様々な現場を経験してきたことが評価された。「色々な現場を経験してきた人」「特定の会社の文化に染まりすぎていない人」という見られ方は、中途採用市場では好意的に受け取られることが多かった。

④残業が比較的少ない現場もある

現場によるが、客先常駐のため、その現場の労働環境に準じる。ホワイトな現場に当たれば、残業が少なく働きやすいこともある。ただしこれは「現場ガチャ」の要素が大きい。


SESで働くデメリット|「やめとけ」と言われる理由

一方で、「SESはやめとけ」と言われる理由になっているデメリットも、正直に書く。

①年収・待遇が上がりにくい

最もきついのが、年収・待遇が上がりにくいことだ。

現場での評価がどれだけ高くても、給与を決めるのは所属しているSES企業だ。クライアントから「あの人は優秀だ」と言われても、それが直接給料に反映されるわけではない。頑張りと報酬が連動しにくい構造がある。

実際、数年間必死に働いて経験を積んでも、年収の伸びは緩やかだった。上司の年収を見て「この会社に居続けても限界がある」と悟ったのも、その構造に気づいたからだ。

②キャリアを自分で設計しにくい

どの現場に入るかは会社が決める。やりたい技術や業界があっても、案件の都合次第でそうならないことが多い。自分のキャリアなのに、自分でコントロールできない感覚は、じわじわとストレスになっていった。

③現場ガチャがある

良い現場に当たるか、きつい現場に当たるかは、ある程度運の要素がある。スキルアップできる現場もあれば、雑用ばかりで成長できない現場もある。「現場ガチャ」と呼ばれるこの不確実性は、SESの大きなデメリットだ。

④帰属意識を持ちにくい

客先で働くため、自社への帰属意識を持ちにくい。自社の同僚と会う機会が少なく、孤独を感じることもある。


SESに向いている人・向いていない人

6年以上いて感じたのは、SESは「合う人」と「合わない人」がはっきり分かれるということだ。

SESに向いている人

色々な環境を経験したい人、特定の会社の文化に縛られたくない人、まず実務経験を積みたい未経験者は、SESが向いている。様々な現場を渡り歩くことに苦痛を感じず、むしろ刺激として受け取れる人にとっては、SESはなかなか良い環境だ。

SESに向いていない人

年収を早く上げたい人、特定の技術を深く極めたい人、キャリアを自分で設計したい人には、SESは向いていない。そういう目標がある場合、SESという構造そのものが足かせになりやすい。

大切なのは、SESが良いか悪いかではなく、「今の自分の目的にSESが合っているか」を定期的に問い直すことだ。合っているうちはいい。合わなくなったと感じたら、そのタイミングで動けばいい。


「SESはやめとけ」は本当か|結論

「SESはやめとけ」という意見は、半分正しくて半分間違っていると思っている。

年収を早く上げたい人、キャリアを自分で設計したい人にとっては、SESに長く居続けるのは確かに得策ではない。その意味では「やめとけ」は正しい。

一方で、未経験からエンジニアになる最初のステップとしては、SESは有力な選択肢だ。実務経験を積んで、様々な現場を経験して、その後のキャリアの土台を作る。その使い方なら、SESは十分に価値がある。

結論として、「SESを最初の一歩として使い、目的を達成したら次に進む」という使い方が、最もSESを活かせると思っている。「ずっとSESにいる」のは避けた方がいいが、「SESから始める」のは悪くない。


よくある疑問への回答

Q. 未経験からSESに入るのはありですか?

ありだ。未経験歓迎の求人が多く、実務経験を積む最初のステップとして機能する。自分も未経験からSESでキャリアをスタートした。ただし「SESで実務経験を積んで、その後ステップアップする」という意識を持って入ることが大切だ。

Q. SESからどんな転職先がありますか?

SIer、自社開発企業、社内SE、上流工程重視のSES大手などがある。SESで下流工程の経験を積んで、SIerで上流工程を経験するというステップアップは王道のルートだ。自分もSES→SIer→外資コンサルというルートで年収を上げた。

Q. SESを辞めるべきタイミングはいつですか?

「年収が上がらない」「スキルが伸びていない」「キャリアを自分で決められない」という不満が積み重なってきたら、転職を考えるタイミングだ。経験3〜5年が転職市場で最も評価されやすい。「もう少し経験を積んでから」と先送りしすぎないことが大切だ。


まとめ:SESは目的を持って使い切るのがちょうどいい

SESを否定するつもりはない。あの6年間があったから、今がある。様々な現場での経験は、転職後も確実に活きている。

ただ、ずっといる場所ではないとも思っている。年収を上げたい、キャリアを自分で設計したいと思ったタイミングで、次のステップを考える。SESはそういう使い方が一番合っている。

「SESはやめとけ」と一括りにするのではなく、「自分の目的にSESが合っているか」で判断する。それが、SESという働き方と上手に付き合うコツだと思っている。

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