30代で未経験からITエンジニアへの転職を決意したとき、最初に悩んだのは「どうやって学ぶか」だった。
独学か、プログラミングスクールか、専門学校か。調べれば調べるほど、何が正解かわからない。そもそも学んだところで本当に就職できるのかという不安が、常に頭の片隅にあった。
自分が選んだのは、夜間の専門学校だった。働きながら2年間通い、卒業後にSES企業へ転職できた。
この記事では、30代未経験からITエンジニアを目指して専門学校に通った実体験を、できるだけ正直に書く。同じように悩んでいる社会人の判断材料になれば嬉しい。
30代未経験が専門学校・独学・スクールを比較した結果
社会人からITエンジニアを目指す場合、主な選択肢は3つある。独学、プログラミングスクール、そして専門学校だ。それぞれのメリット・デメリットを自分なりに比較した結果を書く。
独学を選ばなかった理由
独学は費用が最も安く、自分のペースで進められる。ただ、社会人として仕事をしながら一人で学習を続けられるか、正直自信がなかった。サボる理由はいくらでも作れてしまう。強制力がない環境では継続できないタイプだと自分でわかっていた。
今の時代はUdemyやProgateなど質の高い学習サービスが充実しているため、独学のハードルは当時より下がっている。自己管理ができる人なら、独学が最もコスパの良い選択肢だ。
プログラミングスクールを選ばなかった理由
プログラミングスクールは短期間で集中的に学べる点が魅力だ。ただ当時は数十万円という費用がネックだった。「学んでも就職できるか」という不安がある中で、高額な費用を先払いする決断ができなかった。リスクを取れる経済的な余裕がなかった。
夜間専門学校を選んだ理由
夜間専門学校を選んだのは主に3つの理由からだ。
まず、働きながら通える点だ。昼間の仕事を続けながら夜だけ学ぶことで、収入を途絶えさせずに学習を続けられる。社会人にとって、これは非常に重要な条件だった。
次に、カリキュラムが体系的に組まれていること。独学では学習の優先順位が難しいが、専門学校なら順序立てて学べる。
最後に、就職支援がある点だ。「学んだ後に就職できるか」という不安が大きかった自分にとって、学校のサポートが受けられることも大きな決め手だった。
夜間専門学校×新聞奨学生という選択:2年間のリアル
専門学校は東京にあった。当時住んでいたのは札幌だったため、上京するところから始まった。
問題は学費だった。貯金はほぼなく、借金まで抱えていた。そこで選んだのが新聞奨学生制度だ。
新聞販売店に住み込みで働きながら、学費と生活費を賄う制度だ。家賃はかからない代わりに、朝から晩まで働く。
1日のスケジュール
午前3時:起床・新聞配達開始 午前7時:配達終了 日中:集金・営業業務 午後15〜17時:夕刊配達 午後18〜21時:専門学校の授業 午後22時:帰宅・就寝
睡眠時間は5時間確保できればいい方だった。
きつかった。何度やめようと思ったかわからない。ただ「やめたら借金だけが残る」という現実が、踏みとどまらせていた。授業中に眠くなるのは日常だったが、「これだけ犠牲にして結局エンジニアになれなかったら」という恐怖の方が、眠気より大きかった。
卒業後の転職活動:100社以上落ちた経験
転職活動は2年生になった頃から始めた。学生という立場だったため、新卒採用枠で応募した。20代の同級生たちに混じって30代が就活をしていた。
しかしちょうどその頃、リーマンショックが起きた。就職市場が一気に冷え込み、IT業界も未経験者の採用枠が急激に絞られた。
100社以上応募したが、内定はもらえなかった。年齢を理由に断られることもあった。「景気が回復したらまた来てください」という言葉を何社から言われたかわからない。
結局、在学中には転職先が決まらなかった。無職のまま卒業し、住む場所も収入も一度に失った。
あの時期は正直しんどかった。2年間必死にやってきて、卒業時点でゼロに戻るような感覚だった。「やっぱり自分には無理だったのか」と思いかけた。
それでも就活を続けた。やめたら2年間が本当に無駄になる。その一心で動き続けた結果、卒業後にSES企業から内定をもらうことができた。
夜間専門学校に通って良かったこと・悪かったこと
実際に2年間通った経験から、メリットとデメリットを正直に評価する。
良かったこと①:努力の経歴がアピールポイントになった
働きながら夜間通学を2年間続けたという事実は、転職活動で強力なエピソードになった。スキルよりも「これだけ本気で取り組んだ人間だ」という印象を伝える材料として機能した。面接官の反応が明らかに変わる場面があった。
良かったこと②:学校からの就職支援があった
100社以上応募してゼロという状況の中で、学校経由の企業紹介は数少ない突破口だった。完全に個人で転職活動していたら、さらに時間がかかっていたかもしれない。
良くなかった点:学習内容と現場のギャップが大きかった
授業で使うのは市販の入門書だった。プログラミングの基礎は学べるが、現場で実際に求められるスキルとのギャップは大きかった。入社してすぐにそのことを実感した。
ただ、これは専門学校に限った話ではない。独学でもスクールでも、学習環境と現場の間にはギャップがある。大切なのは「学んだ後にどう動くか」だと今は思っている。
今の時代なら30代未経験エンジニアはどう学ぶべきか
自分がエンジニアを目指したのは20年近く前だ。今の時代に同じ状況になったとしたら、学習方法の選択肢はさらに広がっている。
当時と比べて大きく変わったのは、独学環境の充実だ。UdemyやProgateなどの低コスト学習サービス、そしてChatGPTやClaudeなどのAIを使えば、わからないことをすぐに解説してもらえる。「独学で基礎を学ぶ」コストが圧倒的に下がっている。
今なら次の順番で進めることを考えると思う。まずProgateやUdemyで1〜2ヶ月独学して適性を確かめる。次に簡単なポートフォリオを作成する。その後SESや小規模なIT企業に応募して転職活動を始める。
ただ「一人では続かない」という自己認識がある人には、今でも専門学校やプログラミングスクールの強制力は有効だ。自分がどういうタイプかを正直に見極めることが、学習方法の選択で最も大切なことだと思っている。
30代未経験からITエンジニアを目指す人へのアドバイス
20年近いキャリアを踏まえて、同じ状況の人に伝えたいことを3つ書く。
完璧な準備を待たなくていい。不安は動いてみないと解消しない。「スキルが足りない」「年齢的に遅い」という気持ちは誰でも持っている。まず動くことが最初の一歩だ。
最初の職場が全てではない。SESからスタートして良かったと思っている。多様な現場経験を積んで、転職を重ねてキャリアを作ることができた。最初の会社が理想の環境でなくても、それがキャリアの終わりではない。
就職を意識しながら学ぶ。学ぶことに集中しすぎて就職活動が後手に回るのは良くない。求人を見て必要なスキルを把握する、ポートフォリオを早めに作る、そういった実践的な動きを意識することをすすめる。
よくある疑問への回答
Q. 30代でも未経験からITエンジニアになれますか?
なれる。自分自身が30代前半での転向だ。ただ年齢が上がるほど未経験での採用は難しくなる傾向がある。「いつかやろう」ではなく、今すぐ動き始めることをすすめる。
Q. 夜間専門学校とプログラミングスクール、どちらが社会人に向いていますか?
費用と期間で考えると、短期間で集中したいならプログラミングスクール、じっくり学びたいなら夜間専門学校が向いている。ただ今の時代はまず無料のオンライン学習サービスで試してから判断することをすすめる。
Q. 未経験からSESに転職するのはありですか?
ありだと思っている。SESは未経験可の求人が多く、最初の現場経験を積む場として機能する。最初の会社として入り、経験を積んでからステップアップするという流れは現実的だ。
まとめ:迷っているなら、動いた方がいい
振り返ると、専門学校という選択が完璧だったとは言えない。学習内容は現場と乖離していたし、リーマンショックという運の悪さも重なった。
それでも、動いたことは正解だったと思っている。
借金を抱えたまま上京して、午前3時から新聞を配って、100社以上落ちて。それでもなんとかなった。今は年収900万円近くまで来ている。
30代未経験からITエンジニアを目指している人に伝えたいのは、「どこで学ぶか」より「とにかく動くかどうか」の方がずっと大事だということだ。完璧なルートなんてない。自分に合いそうな方法で、まず一歩踏み出すことの方が何倍も価値がある。


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