SIerに入って数年が経った頃、また同じ感覚が戻ってきた。
「自分のキャリアなのに、自分で決められない」という感覚だ。SESにいた頃とは違う種類の閉塞感だったが、根っこは似ていた。
次の転職を決断するまでに、今度はそれほど時間がかからなかった。1回目の転職で学んだことが、2回目の動きを速くした。
SIerで感じ始めた限界:キャリアを会社都合で決められることへの違和感
SIerに転職した当初は、環境の変化に充実感があった。
上流工程の経験が積めた。マネジメントを学べた。年収も上がった。SESにいた頃に感じていた閉塞感は、かなり解消された。
ただ数年が経つにつれて、別の違和感が積み重なっていった。
案件のアサインは会社が決める。どのプロジェクトに入るか、どのポジションを担うか。自分の希望を伝えても「会社の状況がある」という返答で終わることが多かった。
自分のキャリアの方向性を考えて動きたいのに、会社の都合に合わせて動かされている感覚。それがじわじわとストレスになっていった。SESとは違う種類の不自由さだった。
SESの限界が「年収と上流工程」だとすれば、SIerの限界は「キャリアの自由度」だった。
SIerから転職を決断したきっかけ
決断を後押ししたのは、ある時期の人事異動だった。
自分が希望していたキャリアの方向とは違う部署・役割に動かされることになった。会社の都合としては理解できる。でも、自分のキャリア設計とは明らかにズレていた。
「このまま会社の都合に合わせ続けていても、自分が目指すキャリアには近づかない」と確信した。
SESからSIerへの転職で学んだことがあった。環境を変えることで、状況は変わる。いる場所を変えることが、キャリアを変える最も確実な方法だということだ。今回も同じだと思った。
動くなら早い方がいい。そう判断して、転職活動を始めた。
2回目の転職活動でやったこと:1回目と変えた3つのこと
2回目の転職活動は、1回目より戦略的に動けた。
①複数のエージェントを使い分けた
1回目の反省を活かして、複数のエージェントに登録した。総合型とIT特化型を並行して使うことで、求人の幅を広げた。担当者との相性も比較しながら、信頼できるエージェントを選んで進めた。
②「何を求めて転職するか」を明確にした
今回の転職で明確にしたのは「次に何を得たいか」だった。キャリアの自由度、自分の志向を反映できる環境、業界の幅を広げる機会。その3つを軸に、転職先を絞った。1回目のように「今の環境から逃げる」ではなく「次に何を得るかを決めてから動く」という順番だった。
③自分のペースで判断した
選考は複数社並行して進めた。内定をもらったら比較して選ぶ。前回はエージェントに急かされて焦った経験があったので、今回は自分のペースで判断することを意識した。「○○日までに返答します」と自分で期限を設定して、それ以外の連絡は交わすようにした。
結果として、外資系コンサルへの転職が決まった。
1回目と2回目の転職で違ったこと:「逃げる転職」から「進む転職」へ
1回目の転職は、SESの構造的な限界から逃げることが主な動機だった。「今の環境ではいけない」という焦りが先行していた。
2回目は違った。「次にどこで何を得るか」を先に決めてから動いた。転職先を選ぶ基準も明確だった。面接でも「自分もこの会社を見ている」という意識で質問した。一方的に選ばれる立場ではなく、対等な立場での選考という感覚が持てた。
この違いが、転職後の満足度に影響した。1回目は「とにかく環境を変えた」という感覚で、入社後に「想定と違った部分」が出てきた。2回目は「目的を持って選んだ」という感覚が強く、入社後の方向性のズレが少なかった。
転職は「逃げる」より「進む」目的で動く方が、結果が変わる。
SIerからの転職を考えるタイミング
SIerにいるエンジニアが転職を考えるタイミングとして、自分の経験から見えたパターンがある。
キャリアの自由度への不満が積み重なったとき。「やりたいことをやらせてもらえない」「会社の都合でキャリアが決まる」という感覚が続くなら、転職を検討するタイミングだ。
市場価値と今の年収のギャップが広がったとき。スカウトサービスで確認したときに「今の年収が市場より低い」と気づいたら、転職で埋めるチャンスがある。
SIerでの経験が一定期間積み上がったとき。上流工程・マネジメントの経験が積み上がった段階で転職すると、次の環境での選択肢が広がる。経験が薄いうちに転職するより、一定の実績を持ってから動く方が、交渉力が高くなる。
2回目以降の転職で意識すべきこと
複数回の転職を経験して、2回目以降の転職で特に意識すべきことが見えてきた。
「逃げる転職」から「進む転職」へ。1回目は現状への不満が動機になりやすい。それ自体は悪くないが、2回目以降は「次に何を得たいか」を先に決めてから動く方が、満足度の高い転職になる。不満から逃げるだけだと、転職先でも同じ不満を抱えやすい。
過去の転職の反省を活かす。1回目の転職で「働き方の確認が甘かった」「エージェントに急かされた」などの反省があれば、2回目はそれを活かす。面接で確認すべきことを事前に整理し、エージェントとの付き合い方も改善する。経験を重ねるごとに、転職の質を上げられる。
転職回数より「一貫したストーリー」を意識する。転職回数が増えると「転職が多いと不利では」と不安になる。でも大切なのは回数より、「なぜ転職してきたか」を一貫したストーリーで説明できることだ。「SESで実務経験を積み、SIerで上流を学び、外資コンサルでキャリアの自由度を得た」という流れが説明できれば、多様な経験として評価される。
よくある疑問への回答
Q. SIerから転職するなら、何年目が良いですか?
上流工程とマネジメントの経験が一定程度積み上がった段階が、最も動きやすい。目安としては3〜5年程度だが、人によって異なる。「スキルシートに書ける内容が充実してきた」と感じたタイミングが一つの判断基準になる。
Q. SIerから転職するなら、どんな選択肢がありますか?
外資系コンサル、自社開発企業、事業会社の社内SE、より上流のSIerなどがある。SIerで培った上流工程・マネジメント経験は幅広く評価される。「何を求めて転職するか」によって最適な選択肢が変わるため、目的を明確にしてから探すことをすすめる。
Q. 2回目の転職は1回目より不利になりますか?
2〜3回程度なら、各転職に明確な理由があり一貫したストーリーで説明できれば不利にはなりにくい。むしろ多様な経験として評価されることもある。重要なのは回数ではなく、転職の理由を説明できるかどうかだ。
まとめ:2回目の転職で、キャリアの設計感が変わった
SIerから外資コンサルへの転職は、会社都合のキャリア設計への限界感がきっかけだった。
ただ1回目と違ったのは「何のために転職するか」が明確だったことだ。キャリアの自由度を得るという目的を持って動いた転職は、1回目より満足度が高い。
転職は回数を重ねるごとに上達する。過去の反省を活かし「次に何を得たいか」を明確にして動く。それができれば、転職はキャリアを前進させる確実な手段になる。


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