SESに入って2〜3年が経った頃、周りが転職し始めた。
最初は一人だった。次に同期が動いた。その次は入社時からお世話になっていた先輩が辞めた。気づけば、入社当時に知っていた顔がどんどん減っていた。
正直、茫然とした。自分はここにいていいのかという感覚が、じわじわと広がっていった。
SESで周囲が転職し始めたころの状況
SESという環境は、人の入れ替わりが早い。
それはわかっていたつもりだった。ただ、実際に身近な人が次々と去っていくのを目の当たりにすると、頭でわかっていることと感情で受け止めることは別だとわかった。
2〜3年目の頃、先輩や同僚が転職し始めた。転職先はさまざまだった。自社開発の会社に移る人、SIerに転職する人、全く別の業界に行く人。それぞれが自分のキャリアを考えて動いていた。
送別会のたびに「次は自分も考えないといけないかな」という気持ちが湧いた。でも具体的に何をどうすればいいかわからなくて、結局何もしないまま次の送別会を迎えた。
SESで2〜3年経つと、周囲が転職し始めるというのは珍しいことではない。その時期に自分がどう動くかで、その後のキャリアが大きく変わる。
取り残されていく感覚:周りが動く中で自分だけ同じ場所に
周囲が転職していく中で、自分だけ同じ場所にいる感覚があった。
転職した人たちが新しい環境で活躍しているという話を聞くたびに、「自分は何をしているんだろう」という気持ちになった。比べても仕方ないとわかっていても、どこか焦りに似た感覚があった。
ただ、茫然としながらも動けなかった。
転職したいという気持ちはあった。でも「今の自分のスキルで転職できるのか」という不安が上回っていた。もう少し経験を積んでから、もう少しスキルが上がってから。そうやって先送りにしているうちに、また誰かが辞めていった。
動けなかった理由:「準備が整ってから」という思い込み
なぜ動けなかったのかを、今振り返ると整理できる。
「スキルが足りない」という思い込みが最大の理由だった。SESに入った頃より確かにスキルは上がっていた。でも「転職できるレベルではない」という感覚が常にあった。実際には、そのタイミングで動いていた同僚も、特別なスキルがあったわけではない。ただ、動いたことで道が開けた。
**「完璧なタイミングを待っていた」**のも理由だ。「もう少し経験を積んでから」という先送りの繰り返しだった。でも後から転職した先輩に話を聞くと、「転職前は不安だったけど、動いてみたら意外となんとかなった」という話が多かった。完璧なタイミングなんてない。動くから道が開ける。
**「転職活動の具体的な方法がわからなかった」**のも理由の一つだ。エージェントに登録するとか、スカウトサービスに登録するとか、そういう具体的な一歩を知らなかった。「転職活動」というものを、漠然と大変なものとして捉えていた。
転職していった人たちの共通点
後から振り返ると、転職していった人たちにはある共通点があった。
「このままではいけない」と感じたタイミングで、すぐに動いていたことだ。完璧な準備が整うまで待つのではなく「動きながら考える」という姿勢だった。
一方で自分は「準備が整ってから動こう」と考えていた。その差が、動ける人と動けない人の分かれ目だったと思う。
もう一つの共通点は、「情報収集だけでも始めていた」ことだ。転職を決断する前から、エージェントに話を聞いたり、スカウトサービスに登録したりしていた人が多かった。「情報収集 ≠ 転職を決める」という感覚で、気軽に動き始めていた。
その経験が後の自分を動かした:6年後にやっと転職
SESで6年以上過ごしてから転職した。周囲が動き始めた2〜3年目のタイミングで動いていれば、もっと早くキャリアが変わっていたかもしれない。
その後悔が「いつでも動ける状態を作っておく」という意識につながった。
キャリア経歴書を定期的に更新する。スカウトサービスに登録しておく。市場価値を常に把握しておく。それが今の自分の習慣になっている。
周囲が転職し始めたとき、茫然とするだけでなく「自分はどうするか」を考え始めることが大切だ。その問いを持ち続けることが、キャリアを自分でコントロールする第一歩だと思っている。
周囲が転職し始めたときに考えるべきこと
周囲が転職していく状況は、不安をあおる。でも、その状況を「自分のキャリアを見直すサイン」として活かすこともできる。同じ状況を経験した立場から整理する。
「なぜ周囲が辞めるのか」を観察する
人が辞めていくのには理由がある。年収が上がらない、キャリアが見えない、現場の環境が悪い。辞めていく人たちが何を理由に動いているかを観察すると、自分が今いる環境の課題が見えてくる。それは自分自身が動くべきかどうかの判断材料になる。
「自分はどうしたいか」を言語化する
周囲に流されて焦るのではなく「自分は何を求めているのか」を考える。年収を上げたいのか、スキルを伸ばしたいのか、環境を変えたいのか。それを言語化することで、動くべきか留まるべきかが見えてくる。
情報収集だけでも始める
すぐに転職しなくてもいい。まずキャリア経歴書を更新する、スカウトサービスに登録する、転職エージェントに話を聞く。情報収集だけならリスクなく始められる。「いつでも動ける状態」を作っておくことが、焦りを減らす。
よくある疑問への回答
Q. SESで周りが転職しているとき、自分も動くべきですか?
周囲に合わせて転職する必要はない。大切なのは「自分が今の環境に満足しているか」だ。周囲が動いているからではなく、自分自身の状況を基準に判断する。ただ周囲の動きは「自分のキャリアを見直すきっかけ」として活かすといい。
Q. 「もう少しスキルを上げてから」と思っているうちに動けません
自分もそうだった。結果的にSESに6年以上いた。完璧なスキルが揃う日は来ない。転職した先輩の多くは「動いてみたら意外となんとかなった」と言っていた。まず情報収集だけでも始めることで、一歩を踏み出しやすくなる。
Q. SESからの転職を考え始めたとき、最初に何をすればいいですか?
スカウトサービスに経歴書を登録することをすすめる。転職を決断しなくても、届くスカウトを見るだけで「自分の市場価値がどのくらいか」がわかる。その情報が、次の行動の判断材料になる。
まとめ:周囲が動き始めたら、自分も考え始めるサイン
SESで働いていると、必ず周囲が転職し始める時期が来る。そのとき茫然とするだけで終わるか、自分のキャリアを考えるきっかけにするかで、その後が変わる。
自分は2〜3年目に動けなかった。完璧な準備を待ちすぎた。もっと早く情報収集を始めていればと、今でも思う。
完璧な準備が整うまで待つ必要はない。まず「自分はどうしたいか」を考え始めることが、最初の一歩だ。周囲の動きを、自分のキャリアを見直すサインとして活かしてほしい。


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