初めて後輩ができたがうまく指導できずに悩んだ話

3〜5年目の伸び悩み

エンジニア4〜5年目の頃、初めて後輩ができた。

正直に言うと、全然うまくいかなかった。自分の仕事をこなしながら後輩の面倒を見るという状況が、思った以上にきつかった。「教えることが得意な先輩」になりたかったのに、気づけば後輩に申し訳ない思いをさせていた。

同じような悩みを抱えているエンジニアは多いと思う。自分がどうつまずいて、どう乗り越えようとしたかを、正直に書く。


後輩ができた当初の状況

4〜5年目というタイミングは、自分自身もまだ「一人前」と言えるか微妙な時期だった。

技術的には一通りの仕事をこなせるようになっていた。でも、自信を持って「できる」と言えるほど余裕があったわけでもない。そんな状態で、後輩の指導を任された。

後輩は未経験から入社したばかりのメンバーだった。プログラミングの基礎はあるが、実務経験はゼロ。何から教えればいいか、どのペースで進めればいいか、まったくイメージが湧かなかった。

「自分が経験してきたことを教えればいい」と最初は思っていた。でも、それが思ったより難しかった。自分が「なんとなくわかっている」ことを、言語化して伝えることの難しさを、後輩ができて初めて実感した。


最も困ったこと:自分の業務と指導の両立

後輩指導で一番きつかったのは、自分の業務と指導の両立ができなかったことだ。

後輩から質問が来る。手を止めて答える。また自分の作業に戻る。しばらくするとまた質問が来る。この繰り返しで、自分の集中力がどんどん削られた。

特に困ったのは、後輩の質問のタイミングが読めないことだった。自分が難しい実装に集中しているときに限って、質問が来る。そのたびに「今は少し待ってほしい」と言うことへの罪悪感があった。でも、すべての質問にすぐ対応していると、自分のタスクが全然進まない。

後輩の面倒を見ながら、自分のタスクも期限通りに終わらせなければならない。その板挟みの状態が、しばらく続いた。

残業が増えた時期でもあった。後輩の指導に時間を使った分、自分のタスクを終わらせるために夜遅くまで残ることが増えた。指導の時間を確保しながら、自分の仕事も終わらせる。そのバランスが、なかなか取れなかった。


指導の仕方がわからなかった

業務の両立以外にも、「どう教えるか」自体がわからなかった。

自分が経験してきたことを伝えようとしても、うまく言語化できないことが多かった。「なんとなくこうする」という感覚でやってきたことを、初めての人にゼロから説明するのは想像以上に難しかった。

「これくらいはわかるだろう」という前提で説明して、後輩の顔が曇るというパターンを何度か繰り返した。自分にとって当たり前のことが、相手にとっては当たり前でない。その認識のズレに気づくのに、少し時間がかかった。

逆に、丁寧に説明しすぎて、後輩が「自分で考える機会」を奪っていたこともあった。何でも答えてしまうと、後輩が自分で調べる力を身につけられない。教えすぎと放置のバランスを取ることが、難しかった。

また、後輩のモチベーションの変化にも気づきにくかった。順調に見えていた後輩が、実は詰まっていたということが後からわかるケースもあった。定期的に状況を確認する仕組みを作れていなかったことが原因だった。


試行錯誤して変えたこと

うまくいかない状況が続く中で、少しずつやり方を変えていった。

まず質問を受ける時間を決めた。「午前と午後に各30分、質問タイムを設ける」という形にした。それ以外の時間は「急ぎでない質問はメモしておいて」とお願いした。最初は申し訳ない気持ちがあったが、実際にやってみると後輩も「まず自分で調べる」習慣がつき始めた。質問の質も上がった。

次にタスクを細かく分解して渡すようにした。「これをやっておいて」という曖昧な指示ではなく、「この機能のこの部分を、この仕様書を見ながら実装してほしい。わからなければこのドキュメントを参照して」という形で渡す。具体的であるほど、後輩が動きやすくなった。

週に一度、短い1on1を設けるようにもした。10〜15分程度で「今週詰まったことはなかったか」「来週取り組むことの確認」をするだけだ。これだけで、後輩の状況把握が格段に楽になった。問題が小さいうちに気づけるようになった。

答えを教えるより、考え方を教えることも意識するようにした。「答えはこれだよ」ではなく「こういうときはこういう観点で考えると整理できるよ」という形で伝える。時間はかかるが、後輩が自分で問題を解決できるようになる速度が上がった。


後輩指導を通じて気づいたこと

後輩を持つ経験は、自分自身の成長にもつながった。

「自分がなんとなくできている」ことを言語化する作業を通じて、自分の理解が曖昧な部分に気づいた。「説明できないことは、本当には理解していない」という実感があった。後輩に教えようとすることで、自分の学び直しにもなった。

また、「人に任せる」という感覚を少しずつ身につけられた。最初は自分でやった方が早いという気持ちが強くて、後輩に任せることへの抵抗があった。でも、任せなければ後輩は成長しないし、自分もいつまでも忙しいままだ。「今は時間がかかっても、後輩に経験させる」という判断ができるようになったのは、この時期の大きな変化だった。


後輩指導で悩んでいる人へのアドバイス

同じように後輩指導で悩んでいるエンジニアに、自分の経験から伝えられることがある。

完璧な先輩を目指さなくていい。最初からうまくできる人はほぼいない。試行錯誤しながら、少しずつやり方を見つけていくしかない。うまくいかない時期があることは、当たり前だと思っていい。

質問のルールを最初に決めると楽になる。「いつでも聞いていい」という状態は、お互いにとって効率が悪い。質問の時間や方法を最初にすり合わせておくだけで、ストレスが大幅に減る。

タスクを細かく分解して渡すことを意識する。「これをやって」という曖昧な指示は、後輩を迷わせる。具体的であるほど、後輩が動きやすくなり、自分も進捗を把握しやすくなる。

定期的な1on1を習慣にする。週に一度、短い時間でも定期的に話す機会を作ることで、問題が大きくなる前に気づける。後輩が話しやすい場を意図的に作ることが大切だ。


よくある疑問への回答

Q. 自分もまだ未熟なのに、後輩を教えられますか?

完全に一人前でなくても、後輩より少し先を歩んでいれば教えられることはある。自分が経験したことを正直に伝えることが、後輩にとって一番の学びになることも多い。「わからないことは一緒に調べよう」というスタンスで関わることも、十分な指導だ。

Q. 後輩が全然成長しないときはどうすればいいですか?

まず「成長していない原因」を探ることが大切だ。指示が曖昧で何をすべきかわかっていないのか、フィードバックが不足しているのか、そもそもモチベーションに問題があるのか。原因によって対処法が変わる。一人で抱え込まず、上司や先輩に相談することも選択肢だ。

Q. 自分の業務が圧迫されるときはどうすればいいですか?

上司に状況を正直に伝えることをすすめる。「後輩指導と自分のタスクの両立が難しい状況です」と報告することで、タスクの優先順位を調整してもらえることがある。抱え込んで両方中途半端になるより、早めに相談する方がチーム全体のためになる。


まとめ:後輩指導は、自分の成長の機会でもある

初めての後輩指導は、思った以上に難しかった。自分の業務との両立、教え方の試行錯誤、後輩の状況把握。うまくいかないことの連続だった。

ただ、あの経験がなければ得られなかったものもある。言語化する力、任せる力、人の成長を支援する力。後輩を持つことは、自分自身のキャリアにとっても大きな転換点になった。

うまくできなくて当たり前だ。試行錯誤しながら、自分なりのやり方を見つけていくしかない。それが、後輩指導の本質だと思っている。

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