技術力より勤怠が評価される現場の話|「どうせ今日は来ない」と言われた人が失ったもの

転職と市場価値の上げ方

技術力が高いのに、現場での評価が上がらない人を何人も見てきた。

共通していたのは、勤怠が安定していないことだった。

中でも印象に残っている人がいる。業務知識に長けていて、その領域では明らかに頼りになる存在だった。ただ、週に1〜2日休む。しかも連絡がない。こちらから電話をして、ようやくつながる。

理由は当日の体調不良か、前日の飲みすぎだった。

そのうち、周囲はこう言うようになった。「どうせ今日は来ないだろう」


技術力は評価されていた。それでも評価は上がらなかった

誤解のないように書いておくと、その人の能力は本物だった。

長年その業務領域に関わってきた人で、仕様の背景や過去の経緯を知っている。込み入った質問をすれば的確な答えが返ってくる。実際、その知識に助けられた場面は何度もあった。

能力に対する評価は、確かにあった。 ただ、それが「この人にもっと重要な役割を任せよう」という判断にはつながっていなかった。

理由は単純で、いつ来るかわからない人には、任せられない仕事があるからだ。

納期が決まっているタスク。他のメンバーが待っている作業。クライアントとの打ち合わせ。こういうものは、確実に出勤する人に割り振られる。そうしないとプロジェクトが止まる。

結果として、その人には「止まっても影響が小さい仕事」が回るようになっていった。能力はあるのに、任される範囲が狭まっていく。


「どうせ今日は来ない」と思われることの意味

一番きついのは、周囲が諦めた状態になることだと思う。

最初のうちは、休むたびに調整が発生していた。今日の作業はどうするか、誰が代わりに対応するか。そのたびに現場が動いていた。

それが続くと、周囲は最初から織り込むようになる。その人がいない前提で、計画を立てる。

これは一見、優しく扱われているように見える。責められないし、怒られもしない。でも実態は逆だ。期待されなくなっているということだ。

期待されなければ、重要な仕事は来ない。重要な仕事が来なければ、実績は積み上がらない。実績が積み上がらなければ、評価も上がらない。

技術力があっても、この循環からは抜け出せない。


なぜSESの現場では勤怠が重く見られるのか

勤怠が評価に直結するのには、構造的な理由がある。

①人員計画が稼働前提で組まれている

プロジェクトのスケジュールは、各メンバーの稼働日数を前提に引かれている。週1〜2日欠ける人がいると、その分の作業が計画から外れる。誰かが埋めるか、スケジュールが遅れるかのどちらかになる。

②SESは稼働に対して報酬が発生する

常駐型の契約では、稼働時間が契約の根拠になっていることが多い。欠勤が続けば、クライアントから所属会社に指摘が入る。本人の評価だけでなく、会社同士の関係にも影響する。

③代わりが用意されている前提の契約になっている

SESでは「この人でなければ」という契約にはなりにくい。安定稼働しない人がいれば、交代を検討される。技術力の高さより、契約を安定して履行できるかどうかが優先される。

④信頼は積み上げに時間がかかり、失うのは早い

「来ると思っていた人が来なかった」という経験は、強く記憶に残る。一方、毎日出勤していることは当たり前として処理される。つまり、勤怠は加点されにくく、減点されやすい項目だ。


連絡があるかないかで、意味がまったく変わる

ここは明確に区別しておきたい。

体調不良で休むこと自体は、まったく問題ない。 誰でも体調を崩すし、家庭の事情もある。持病を抱えながら働いている人もいる。休むことを否定する話ではない。

問題なのは、連絡がないことだ。

朝に「今日は体調不良で休みます」という連絡が入れば、現場はその前提で動ける。作業を振り替える、優先順位を変える、必要なら他のメンバーに依頼する。対応できる。

連絡がないと、現場は待つことになる。来るのか来ないのかわからない時間が発生する。こちらから連絡して、ようやく状況がわかる。この不確実性が、信頼を削る。

「休む人」と「連絡なく来ない人」では、評価がまったく違う。前者は普通に働いている人で、後者は計画に組み込めない人だ。


逆に、安定して出勤する人に起きること

安定して出勤する人には、目に見える形で結果が返ってくる。

継続案件に呼ばれる。 案件が終わっても、次の案件で声がかかる。クライアント側からすれば、稼働が読める人は計画が立てやすい。

契約が延長されやすい。 契約更新のタイミングで、真っ先に残る候補になる。技術力が突出していなくても、安定性という価値がある。

任される範囲が広がる。 確実に出勤する人には、納期のある仕事、他人が依存する仕事を任せられる。その経験が実績になる。

自分自身、技術力は平均以下のまま20年やってきた。それでも仕事が途切れなかった理由の一つは、ここにあると思っている。勤怠が安定していることは、地味だが確実な信用になる。


勤怠は「最低ライン」であって、強みではない

ここは正確に理解しておきたい。

安定して出勤することは、評価される要素ではなく、評価の土俵に上がるための条件だ。

毎日出勤しているからといって、それだけで高く評価されるわけではない。当たり前のこととして処理される。

ただし、これができていないと、他のすべてが評価の対象外になる。技術力がどれだけあっても、その手前で止まる。

土台が崩れていると、その上に何を積んでも意味をなさない。 勤怠はそういう性質の項目だ。

だから、勤怠を「頑張っているアピール」にするのは筋が違う。それは最低限やることであって、誇ることではない。誇るべきものは、その上に積み上げたものの方だ。


よくある疑問への回答

Q. 体調を崩しやすい体質ですが、評価に影響しますか?

休むこと自体より、連絡と調整ができているかが見られる。事前に相談しておく、当日は早めに連絡する、休んだ分のリカバリを提示する。これができていれば、大きな問題にはなりにくい。持病がある場合は、可能な範囲で上司に共有しておくと配慮を得やすい。

Q. 技術力を高めれば、勤怠の問題はカバーできますか?

難しい。技術力と勤怠は、評価される軸が違う。「この人でなければできない」というレベルの技術があれば多少は許容されることもあるが、そこまでの希少性を持つ人は限られる。多くの場合、カバーできない。

Q. リモートワークでも勤怠は評価されますか?

形は変わるが、本質は同じだ。出社の有無ではなく「稼働が読めるか」「連絡が取れるか」が見られる。リモートでは姿が見えない分、レスポンスの速さや報告の頻度が、その人の信頼度を決める要素になる。


まとめ

業務知識に長けた人がいた。週1〜2日、連絡なく休む。そのうち周囲は「どうせ今日は来ない」と諦めるようになった。

能力は評価されていた。でも、重要な仕事は任されなくなっていった。いつ来るかわからない人に振れる仕事は限られるからだ。

休むこと自体は問題ではない。連絡があれば、現場は対応できる。問題は、計画に組み込めなくなることだ。

勤怠は強みではない。最低ラインだ。ただ、ここが崩れると、その上に何を積んでも評価につながらない。技術力に自信がない人ほど、この土台の価値を知っておいた方がいいと思う。

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